毎朝20人分のコーヒーを淹れていた日々の思い出

20代の一時期、従業員20名ほどの小さな事務所で働いていました。

そこで一番若かった私が、最初に教わった仕事、それは朝一番に全員分のコーヒーを準備すること。20名それぞれに好みがあり、ブラック、ミルク少なめ、ミルク多め、ミルクと砂糖・・・等々。各自の好みに合わせ、毎朝せっせとコーヒーをいれます。

最初は、かなり戸惑いました。というのは、20名それぞれに合わせるのが大変だったのではなく、コーヒーを淹れたことがそれまで一度もなかったのです。コーヒーメーカーの使い方も知りませんでした。

実は、それまでずっと、紅茶・緑茶派だったので、コーヒの淹れ方だけでなく、コーヒー豆の種類もよくわかっていませんでした。

でも、わたしはすぐにその作業が好きになりました。

まだ、人の少ないオフィスの隅の、小さな給湯室が、コーヒーの香りでいっぱいになること。スタッフそれぞれの顔を思い浮かべながら、ミルクを入れたり、砂糖を入れたり。気持ちの良い作業でした。

なんとなくやる気が出ない朝も、コーヒーの香りで元気になれる気がしました。最初は、ひとにはコーヒーをいれながらも、自分は緑茶を飲んでいたのですが、そのうち、自分もコーヒーを飲むようになり、いつのまにかコーヒーが好きになっていました。

今はもう、その事務所をやめてしまいましたが、当時のことを思い出すと、懐かしい記憶とともに、いつもコーヒーの香りが漂ってくるような気がします。

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