コーヒーとジャズとあの人に恋して

私は特にコーヒーが好きという訳ではないのですが、大学生のときに、大学近くにジャズ喫茶があり、ふとしたきっかけで1人でそのお店に行ってみたことがありました。

当時の私には、つねに煙草でくもっていて、薄暗い、地下にあるそのお店が、大人びた空間に思え、コーヒーにもジャズにも、ほとんどと言っていいほど関心がないにも関わらず、時間を見つけてはよく通うようになりました。

そのうち、店のマスターや常連さんとも親しくなり、にわかジャズファンになった私は、必死でわかりもしないジャズのCDを買い、常連さんたちの会話についていこうとしていました。

そのうえコーヒーより紅茶のほうが好きだったのですから、今思い出しても滑稽だったなと、若き日の自分に苦笑いしてしまいます。だけど、コーヒーの香りだけは大好きでした。

そんなに背伸びして通いつめていたのは、常連さんの中に片思いしてていた人がいたからです。

学生でなかった彼とは、時間帯がなかなか合わず、会えると本当に嬉しかったです。背伸びしている私を子供扱いせずに接してくれて、どんどん気持ちが傾いていきました。

けれど、店で会ったら話す仲からどうしても進展させることが出来ず、転勤で去って行ってしまいました。私の足もお店からいつの間にか遠のいてしまいましたが、今でも時々甘酸っぱく思い出すことがあります。

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