至福のコーヒータイムは、ブラックコーヒーとチョコレートで
今から約10年前に会社勤めをしていた時に話です。自宅から会社までは約1時間。終業時間が18時ということもあり、残業があると帰宅時間が遅くなってしまって、夕飯の支度をする時間がなくなってしまうので、途中で夕飯のおかずを買って変えることがありました。
買い物をする所は、駅ビルの地下の食料品売り場。残業を終えてお腹はぺこぺこ、体はヘトヘトな状態で食料品売り場にやっとの思いで歩いていると、ぷーんととてもいい香りがしてきたのです。コーヒーの香りです。私は思わずクンクンとその香りを追ってしまいました。居てもたってもいられなくなった私は、そのコーヒーを味わいたい一心で足早にコーヒー店に向かいました。
そのコーヒー店は駅ビルに入った通路にあり、周りには囲いがなくスタンドカフェのような感じが、私にはお気に入りでした。椅子に座ってからメニューを見るのですが、本日のコーヒーに珍しいコーヒーがあるとそれを必ず注文します。私は新しもの好きで、知らないものに出会うと嬉しくてたまらなくなります。
そして入れたてのコーヒーには必ず一口チョコレートが添えられているのです。私はその粋な計らいがとてもお洒落に思えてドキドキしたのを覚えています。コーヒーはブラックで頂いて、時々添えられたチョコレートを頬張る、そんな自分の姿を思うとワンランク上の大人の仲間入りをしたような気分になって、自然と姿勢がよくなりました。
コーヒーとチョコレートを頂く時間は15分程度。本当にほんの一時ではありますが、そのコーヒータイムは、私にとっては何ものにも代え難い貴重なリフレクソロジーでした。久し振りに、あのコーヒーとチョコレートを味わいに出掛けてみたいと思っています。