安ければいいという考え方はそろそろ見直されるべきではないのか

バブルが弾けた後、デフレスパイラルに陥った日本では、安いことがいいことであるような風潮ができました。

アベノミクスで多少経済が上向きになったと言われてもその状況は変わりませんから、あいかわらず500円ランチだの300円の弁当だのがもてはやされ、企業から個人商店に至るまで、企業努力という名のギリギリまでの身を削る低価格化をしなければなりません。

そうした状況で最も割を食らうことになるのはどこか?

言うまでもなく第一次産業。メディアでは消費者に安く売る側の工夫は取り上げられることはあっても、それらの業者が原料を調達している生産者まで取り上げられることはほとんどありません。

安くできるのは結局のところ生産者から買い叩いているから。しかし、国内の生産者はまだましなほう。発展途上国のお茶やコーヒーの生産者はさらに搾取されています。

企業や商社が大量買い入れの名のもとに豆を買い叩けば、生産者はいくら働いても生活レベルが向上することはありません。江戸時代の小作農と同じです。

貧困にあえぐ農家は、場合によってはコーヒーの生産をやめて麻薬栽培に手を染めたり、あるいは離農して犯罪組織に走るということまであります。

そのような状況が続けば産業自体が先細り、また当該国の治安も悪くなってしまいます。

そうした事態になることを防ぐ目的で行われているのが「フェアトレード」。これはフェア、つまり公平な取引を行うというもので、大量購入で買い叩くのではなく、その商品に応じた適正な価格によって仕入れを行います。

フェアトレードは、現地生産者の生活を支え、離職や犯罪を防ぎます。また、良いものを作ればそれだけ価格も上がるので、豆の質も上がっていきます。

そうすれば生産者が潤うだけではなく、企業側もそのクオリティの高さをアピールでき、つまりはwinwinの関係が構築されることになるわけです。

もちろん、仕入れ価格は上がるのでその分のしわ寄せは消費者に来ます。しかし、消費者には選ぶ権利がありますから、コンビニのカウンターコーヒーで満足できるならそちらを選べばいいだけの話。

近頃はサードウェーブカフェもこのフェアトレードによる豆の仕入れをアピールしているところが多いようです。

それはそれでいいことだとは思いますが、困りものなのは日本人のサードウェーブ信者が、まるでフェアトレードがサードウェーブの専売特許のように主張することです。

実際にはコーヒー産業にフェアトレードという考え方を持ち込んだのは、サードウェーブ信者が無駄に敵視しようとしているシアトル系。スターバックスもタリーズコーヒーもフェアトレードで豆を仕入れています。

よく、スターバックスのコーヒーはボッタクリだなどと批判する人がいます。しかし、例えばスタバのドリップコーヒーはショートサイズで280円(2016年末時点)。別に高くありません。

個人営業の喫茶店で、レギュラーコーヒ一杯500円以上するところなんてざらにあります。

もちろん、セブンカフェのレギュラーコーヒー一杯100円よりは高いです。セブンカフェは標高1,000m級の高地でとれたロブスタ種を使っていることがご自慢。

聞くところによると、一部店舗ではスターバックスの豆より良いものを使っていると店員に宣伝させているとか。

コーヒー一杯の値段はもちろん豆の仕入原価だけで決まるわけではありません。しかし、高級ロブスタ種の豆をまともに仕入れていたら、そんな価格設定で提供できるはずがないことは分かります。

安ければそれでいいという考え方のその向こう側にどんな現実があるのか、日本人はもう少し考えてみるべきではないでしょうか?

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