これから注目されるコーヒー産地は中国の雲南省

コーヒー好きなら「コーヒーベルト」という言葉を聞いたことがあると思います。

これは、赤道を中心に北緯25度から南緯25度までの間の、コーヒーの栽培に適した地帯をさし、地球をベルトのようにぐるっと一周しているためにこう呼ばれています。

厳密に言えばコーヒーベルトから外れた地帯でもコーヒーが育たないわけではありません。しかし、商品作物として大量に生産しているのは、この範囲内に入る国だけです。

世界のコーヒー生産量1位のブラジル、2位のベトナム、7位のエチオピア。南米、東南アジア、アフリカと、地域はまったく違うものの、コーヒーベルトの中に入っているという点では共通しているのです。

とはいっても、コーヒーベルトの中に入っていればどこでも育てられるかというとそう単純なものでもありません。

ベトナムなどで大量生産されている「ロブスタ種」は、アフリカのコンゴ原産と考えられており、気候条件の変化にも耐える強さがあります。そもそも「ロブスタ」というのは「強い」という意味から来ています。

一方、日本で主に流通している銘柄付きのコーヒー豆はエチオピア原産のアラビカ種。こちらはロブスタ種よりも育成条件がうるさく、また病害虫にも弱い種類。

AGFの公式サイトにある『コーヒーができるまで』によれば、コーヒーが育つためには年間降雨量が1,800mm〜2,500mmで、成長期が雨季で収穫期が乾季であること。日当たりがよく、かつ適度な日陰があること。

年間平均気温が20度ほどであること。そして酸性気味で水はけがよい肥沃な土地であることが必要です。

特に平均気温と適度な日照は重要ですから、コーヒーベルトが熱帯地域でありながらも、産地は高原の涼しい場所であることが多いのです。例えばキリマンジャロやブルーマウンテンなどの産地も高原。

現在、コーヒー生産地の勢力図を塗り替えかねない勢いで急成長している新興コーヒー生産国があります。

それは中国。

東アジアに属する中国で、コーヒーが育てられるイメージはないと思います。しかし、現在コーヒー生産を急速に伸ばしている雲南省はベトナムにも隣接しているコーヒーベルトの最北限地域。

そして、ハワイとほぼ同じ緯度にある海南島でもコーヒーは作られています。

実は、2013年の時点で中国は世界のコーヒー生産量ランキングで12位でした。雲南省はもともと茶の原産地とも考えられ、茶の栽培も盛んでした。

しかし、今ではコーヒー栽培地として生まれ変わろうとしているのです。

中国のコーヒー生産については、すでに世界的なコーヒー企業が目を付けています。

スターバックスは、2009年に雲南省に自社農園の建設を開始。2011年には、ハワード・シュルツCEO自らが、プーアル茶の産地として知られる雲南省のプーアル市に赴き、同市とコーヒー産業の発展を推進する覚書に調印しました。翌2012年には同地企業と合弁会社の設立で合意しています。

また、ネスレはスターバックスに20年以上さきがけて、1988年に雲南省でコーヒーの栽培実験を開始。人材育成や技術開発などに協力しており、現在では輸出できるレベルまで生産を拡大するに至りました。

日本のUCC上島珈琲も雲南に自社農園を建設するというニュースがありましたが、2016年11月現在、同社の公式サイトには雲南農園の情報がないために、現在どうなっているかはわかりません。

もっとも、一番早く雲南でコーヒーを育てたのはそれら大企業ではなく、フランスの宣教師が19世紀末に自分が飲むコーヒーを作るために植えたのが最初だとか。

今でも樹齢90年を超えるコーヒーの木が残っており、その集落では細々とコーヒー栽培が続けられてきたそうです。

雲南での栽培に適しているのは、アラビカ種のなかでも小粒種。これは香りがよく苦味が少ないということなので、日本人の好みにも合っているかもしれません。

日本のネトウヨのたぐいは中国産という時点で拒絶反応を示したりしますが、信用出来ないのは中国の企業が自ら生産した場合です。

日本のぬるい考えの企業とは違い、海外の企業は契約が厳密で、また投資した分はしっかり取り戻そうとするため、製品管理も厳格。

中国だから全て否定するという幼稚さを捨てられなければ、正しいものの見方はできないでしょう。

今後さらに生産量を増やしてくるであろう雲南のコーヒー。

2014年には寒波に見舞われ生産量が落ちるなど、コーヒーベルト北限ならではの懸念もあるものの、上質なコーヒーの産地が増えるならばむしろ歓迎すべきことです。

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