鳥取県が「コーヒーの聖地」に!?ダジャレも言ってみるものだ
2014年当時、鳥取県は日本で唯一スターバックスの支店がない県でした。
まるで最後の秘境のように言われていたわけですが、平井伸治鳥取県知事はそれを逆手にとって「スタバはないけど、日本一のスナバはある」と観光PRを行いました。
機転が利いてユーモアもある素晴らしいPRだったと今でも語り草になっています。
そして、その発言をもとに、地元で海鮮レストランなどを展開する「ぎんりんグループ」が「すなば珈琲」を開店しました。すなば珈琲では、地元食材の仕入れルートを活かしたマグロカツサンドなどを提供しています。
ところが、知事発言の翌年、本当にスターバックスが鳥取県に進出することになりました。
すなば珈琲は「すわ黒船来襲」と、「大ピンチキャンペーン」を展開。しかし、実際にはスタバの鳥取1号店店長さんがわざわざすなば珈琲を訪問して挨拶するなど、両者の関係は良好なようです。
こうしたすなばとスタバの競争発生で、鳥取県にはいわば「コーヒーブーム」のごときものが起こりました。
鳥取県民はもともとコーヒー好き。スタバ進出前もコーヒー消費量は決して少なくはなかったのです。
実際、スタバができる以前に行われた総務省の家計調査2012年〜2014年版では、鳥取県の世帯あたりのコーヒー消費量は全国で2位でした。
そもそも、スタバ進出に先駆け、鳥取県にはドトールコーヒーやタリーズコーヒー、コメダ珈琲など全国チェーンの支店が続々と進出しています。
ただ、県庁所在地・政令指定都市単位では、鳥取市のコーヒー購入額は全体の真ん中前後でした。ところが、スタバ進出後の2015年、突如鳥取市の年間コーヒー購入額は全国1位となりました。
この時期はコンビニコーヒーも業績を伸ばしているので、スタバだけの影響ではないかもしれません。しかし、スタバ進出が、鳥取市民のコーヒーへの潜在的欲求を掘り起こしたというのも決して的外れではないはず。
そして2015年末には、オーストラリアのドライブスルー式コーヒーチェーン「マズバズ」が、ドライブスルー店舗の第1号店を鳥取市に開店。
マズバズの店舗自体は埼玉県に1号店ができていたものの、ドライブスルー形態の店は鳥取市が初めてでした。
これも鳥取でのコーヒーの盛り上がりが呼び込んだ流れだと言えます。
これに気をよくしたのか、もしくは調子に乗ってしまったのか、鳥取珈琲文化振興会は2016年9月23日から10月2日まで「世界コーヒーサミット」を開催し、「コーヒーの聖地とっとり」を宣言してしまいました。
知事のダジャレから起きたコーヒーでの地域振興がこれからも注目されます。