サードウェーブカフェは多分日本には定着しない
アメリカではやっているものが日本に上陸すると、その時だけ騒がれ、同業他社がパクリ、しばらくすると廃れるというのはよくあること。その点、廃れずに定着しているスターバックスなどはすごいと言えます。
最近日本に上陸したサードウェーブは、スターバックスのように日本で定着することはできるでしょうか?
個人的な意見を言うと、サードウェーブが日本に定着するのは難しいことのように思えます。なぜならばスターバックスがシステムであるのに対し、サードウェーブはカルチャーだからです。
日本人は歴史的に見ても外来の文化をスタイルまでは真似しても、その精神まで踏み込んで受け入れることは苦手としています。
日本でサードウェーブが紹介される場合「産地を厳選したシングルオリジン豆を使う」「一杯ずつハンドドリップで淹れる」というスタイルばかりが取り上げられますが、最も大切なサードウェーブのカフェの精神というのは、上質なコーヒーをお仕着せではない顧客好みの味で提供するということです。
だから、アメリカではサードウェーブとひとくくりで言っても、ショップによって味は違い、顧客はそれぞれ自分好みの店を選びます。これは、サードウェーブというカルチャーが生まれたアメリカ北西部の街、DIY文化の中心地でもあるポートランドの風土が生んだものです。
ポートランドには、他人の評判よりも自分の頭で考えて選んだものを重視するという精神文化があり、だからこそ、自分の舌で選ぶサードウェーブというカフェカルチャーが生まれました。これは、自分で選ばず思考停止してメディアや他人の評判にすぐに飛びつく日本人とは正反対です。
日本でもサードウェーブのスタイルをパクったカフェがいくつか出てきました。しかし、スタイルはパクれてもカルチャーとしての精神はパクれません。だから、システムがあれば成り立つスターバックスとは違い、サードウェーブは日本に定着することはないだろうし、定着したように見えてもおそらくそれは日本的に歪められた表面的なスタイルだけのものになるでしょう。
そもそも、サードウェーブが日本に定着できるなら、そのご先祖たる日本の職人的な喫茶店が寂れることはなかったはずだと思うのは私だけでしょうか。