日本で次々オープンする新しいコーヒーのスタイル

「スターバックスコーヒーが日本に広げてくれたたカフェ市場の恩恵を我々は受けているのだろう」

ブルーボトルコーヒーは2015年2月6日、東京都江東区にある地下鉄清澄白河駅から約徒歩7分の場所に開店しました。創業者でありCEOのジェームス・フリーマン氏は2月の寒空の下で行列を作って開店を待つ多くの客の姿に目を細めていました。

ブルーボトルコーヒーは2002年にサンフランシスコ近郊のオークランドで誕生し、「サードウェーブコーヒー」と言われる焙煎方法やコーヒー豆にこだわってバリスタが丁寧に1杯ずつ入れるカフェの代表格です。

日本では2015年3月に港区青山に出店、代官山にはキオスクタイプの小型店舗もオープン。フリーマン氏は「目標の出店数は特に決めていない。まずはこの清澄白河店を成功させることが大切」と話しました。

日本のコーヒービジネスでは2012年夏ごろから各コンビニエンスストアが相次いで参入、今では1杯100円のコーヒーが簡単に飲めることが当たり前となっています。今後も日本の”コーヒー競争”は激しさが増していくでしょう。

さらに最近ではアパレル企業もここに参戦してきました。トリニティアーツが展開しているブランドの「niko and…」原宿旗艦店では、店舗の一角にコーヒーカウンターを設置しました。また、多くのセレクトショップを展開しているベイクルーズでは2014年12月、渋谷にニューヨーク発の「ゴリラコーヒー」1号店を開店。

どうしてアパレル企業がコーヒー市場に参入したのでしょうか。

アパレル業界における最近のトレンドは「ライフスタイルの提案」です。これは従来の洋服だけでなく雑貨や家具なども一緒に販売するという形で現れており、従来の店舗より広いスペースで展開しています。

ところがアパレル業界関係者が「消費は弱い」と話すように、まだ洋服や雑貨などの消費にまでアベノミクスの恩恵は届いていません。その結果、広いスペースを確保した多くの店舗では坪効率が悪化しているのです。このように本業で苦戦するアパレル業界が目をつけたのがコーヒーという商材でした。

アパレル企業のコンサルティングをおこなっているディマンドワークスで代表を務める齊藤孝浩氏は、「コーヒーはライフスタイルの提案ができるだけでなく、洋服に比べて単価が安く顧客が手に取りやすい商品。そしてレストランを運営するほどの高いノウハウは必要なく、投資の規模も大きくない」と分析しています。

また、大手外食チェーンの幹部が、「何よりもコーヒーは原価が安く、利益を得やすい商材の代表例である。アパレル企業が参入してくるのもわかる」と述べるほど、効率や利益率から判断するとアパレル業界の”救世主”であると注目されています。

円安による仕入れコストの上昇、また人件費や電気代も上昇、さらに消費はまだ弱いという現在、アパレル業界は”四重苦”の状態にあると言えます。日本のコーヒー戦争が加熱していくなかには、このようなアパレル業界の苦境もありそうです。

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