日本コカ・コーラがセブン&アイと共同で新しいジョージアを開発
2015年4月3日、日本コカ・コーラグループはセブン&アイ・ホールディングスと缶コーヒーを共同開発し、2015年4月21日に発売。この新商品には主力ブランドである「ジョージア」のロゴと、セブン&アイのプライベートブランド(PB=自主企画)「セブンプレミアム」のロゴが両方デザインされています。日本コカはこれまで「PB商品は作らない」としてきましたが、何が起きたのでしょうか。
コカ・コーラはセブンと共同企画した「ジョージア」の発売を発表した(2015年4月3日、東京都江東区)
この商品はセブンイレブンやイトーヨーカ堂などのセブン&アイグループの約1万8千店だけでの販売となります。「ジョージア プライベートリザーブ」ブランドでブレンド、微糖(各185グラム、店頭想定100円)、ブラック(290ミリリットル、同118円)の3種類で展開し、長期熟成させた豆を使用して深いコクがある味に仕上げています。また、緑茶飲料についても共同企画商品である「一(はじめ)緑茶」を発売します。
日本コカが小売り向けとして同社の専用商品を供給する例は今までもありましたが、小売り側のブランドを付けて売り出すのは今回が初めてです。今回の新製品について日本コカは「PBではなく、あくまでも共同で企画した『ジョージア』であると説明しています。
しかし、昨夏に期間限定商品としてセブンイレブン専用として供給したレモン風味のコカ・コーラについては、「コカ・コーラ」のおなじみのロゴだけでした。今回の発表で清涼飲料の巨人である日本コカが、セブンとの連携に対して一歩踏み込んだことが明らかになりました。
この連携について背中を押したのは、近年の激しい「コーヒー戦争」だと考えられます。缶コーヒー市場は2014年で3億4300万ケースと減少傾向が続いていますが、一方でコンビニで淹れたてコーヒーを提供するコンビニコーヒー市場は急拡大を続けています。コンビニ大手5社による販売計画では、2014年度は合計13億杯と前年度の倍になる勢いです。
缶コーヒーの専用商品についてセブン&アイはサントリー食品インターナショナルと提携し、去年1月から「ボス」ブランドの共同企画商品を展開しています。飲料総研の調査によると、昨年トップブランドである「ジョージア」は出荷量が2%減少したのに対し、2位の「ボス」は6%増えました。
飲料メーカーにとってはコンビニの限られた商品陳列棚に自社製品をどれだけ配置できるかは最大の関心ごとです。それが強力な販売力を持つセブンイレブンの棚となればなおさらです。そのような中で「PBはつくらない」という日本コカのプライドにはロゴを両社共存させることで折り合いをつけ、名より実をとった形となりました。
日本コカの和佐副社長の話では、飲み方や香りなど消費者のコーヒーに対する要求が多様化する中、セブン&アイと共同企画して独自ブランドを売り出すことで売り上げの向上につながるとのことです。
今回セブン&アイとしてはサントリーから日本コカに乗り換えた形になります。
「缶コーヒーのトップとぜひ組みたかった。コカ・コーラグループであれば、サントリーでは作れない商品を企画できる」とセブン―イレブン・ジャパンの鎌田靖取締役は2015年4月3日に都内で行われた日本コカと共同の商品発表会の場で話し、独自商品の強化に笑顔を見せました。
セブン&アイではコーヒー以外でも業界大手と共同企画で魅力のある商品を開発し、競争力を向上させる戦略を行っています。カップ麺では日清食品と、ビールではアサヒビールと、スナック菓子であればカルビーと手を組んでいます。日用品についても花王がセブン&アイの専用商品として柔軟剤を発売するなどその動きは広がりを見せています。
限られた棚を手に入れるのはどこなのか、各業界メーカー間の競争も激しさを増していくことでしょう。