缶コーヒーのアルミ缶化は進んでいくか

大手化学メーカーである昭和電工は栃木県にある子会社の工場に、コーヒー向けのアルミニウム缶製造設備を2015年1月30日ひっそりと新設しました。この工場の顧客について昭和電工は固く口を閉ざしていますが、これが日本コカ・コーラ向けの設備であることは業界の中では周知の事実。

実は業界団体がこれまで約30年にわたって、ミルク入り缶飲料におけるアルミ缶使用を自粛する要請をしていたため、国内で販売されているミルク入り缶コーヒーの容器はほとんどがスチール缶でした。ミルクが含まれている缶飲料については致死率が高いボツリヌス菌の繁殖という危険性があり、アルミ缶の場合はその菌の繁殖を発見しにくいというのがその理由。

アルミ缶は軟らかいため、薄くても強度を保つために内部にガスを入れて内圧を高める手法が一般的。これにより、もともと缶を膨張させているために消費者が菌が繁殖したことによる缶の膨張を察知しにくくなるのです。

また、製造工場では「打検」と言われる缶の底を叩いて音の振動によって内部の圧力を測る方法で、内部で菌が繁殖していないことを確認します。しかし、この打検は底が平らなスチール缶でないと難しく、アルミ缶のように底がドーム型の場合は確認が困難であると言われています。

そんな状況に日本コカ・コーラが一石を投じました。

もともと2014年8月に業界団体における「申し合わせ事項」が工場の衛生管理の進化を踏まえて変更されたことにより、アルミ缶をミルク入り飲料に使用することが認められやすくなっていました。しかし日本コカ・コーラはこの”アルミ缶解禁”より前の2014年4月ごろからアルミ缶入りのコーヒーを販売しています。

日本コカ・コーラがアルミ缶入りコーヒーに強いこだわりを示す理由はなんでしょうか。その理由に一つにはアルミ缶はコストパフォーマンスが良いということがあげられます。

現在一般的な190ミリリットルサイズのコーヒー缶の場合、スチール缶は約30グラムですがアルミ缶だと約10グラムになります。アルミの地金価格は高い水準でとどまっていますが、アルミの方が1缶あたりで使用する素材の量が少なくなり、結果的にアルミ缶の方が安くなる傾向にあるのです。さらに、缶の重量が軽くなれば輸送時に排出される二酸化炭素の量も削減ができます。

そのほかにアルミ缶にこだわる理由として、「アルミは材料の相場がオープンになっているため、素材調達の透明性が高い」(素材メーカー関係者)という点も挙げられるでしょう。

そして飲料メーカーにとっては、アルミ缶という新たな選択肢を得ること自体もメリットとなります。素材の調達先候補を増やせる上、スチールとアルミを天秤にかけて価格を交渉することも可能となるでしょう。

日本コカ・コーラは2015年1月末時点で缶コーヒー20製品をアルミ缶に変更しています。この中には「ジョージア」18製品が含まれます。このアルミ缶化の動きが飲料業界全体に広がれば、昭和電工のようなアルミ缶のみを製造する缶メーカーにとってはとても強い追い風となるでしょう。

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