2015年のコーヒー豆収穫量の予測と見通し

世界最大のコーヒー豆生産国であるブラジルでは、収穫量が増加する「表年」と減少する「裏年」が隔年で繰り返されるという特徴があります。コーヒーの国際価格はブラジルでの収穫量に大きく左右されるので、取引に関係する市場関係者はこの表年と裏年を考慮に入れて生産量を予想し、売買を行います。

しかし2015年度は2014年初めに発生した干ばつの影響で、生産量の見通しが立て難くなっています。

約40年に渡りコーヒー豆の輸入を行ってきた卸業者ワタル(東京・港)の小沢志朗顧問は「2015年度はコーヒー豆がどれだけ収穫されるのか非常に読みづらい」と困惑しています。ブラジルはここ10年程、前述した表年と裏年を繰り返しながら、コーヒー豆の生産量を増やしてきました。例えば表年だった04年度の生産量は4,360万袋(1袋=60キログラム)でしたが、翌05年は裏年となり3,610万袋に減少、しかしさらに翌年の06年は表年となり04年度より多い4,670万袋まで増加しました。

この順序が14年度に崩れたのです。本来であれば表年で生産量が増える予定でしたが、14年1月に発生した大干ばつの影響により収穫量は5,120万袋にとどまりました。これは裏年であった13年度と比べて6%少なく、2年連続での減少となりました。これに応じてニューヨークの先物価格では年初の1ポンド110セント前後から、3月には200セントを超える価格にまで急騰しました。

現在、コーヒー市場関係者の関心は6月から本格化される15年度の収穫量に集まっています。今年の生産量について欧州系商社は4,940万袋と予想していますが、生産者団体の予想は4,000万袋であるなど様々な予想値が出てきていますが、いずれも14年度の生産量を下回るだろうとされています。

この予想の背景には、まず15年度は裏年にあたるという点。また、14年度に発生した干ばつのダメージが若木を中心に残っているという見方もあり、15年度の収穫量の予測が低く見積もられる原因となっています。

しかし最近になって事態は変化しているようです。14年秋頃からニューヨーク先物価格は下落基調となっており、現在では前年同期より下回る1ポンド130セント前後を推移しています。今年の1月も降雨は少ない傾向でしたが、14年のような被害にはならないでしょう。

そして14年の生産量が少なかったため、今年のコーヒーの木は実をつける力が残っているのではないかという見方も浮上してきました。大手商社では「裏年にあたる15年度だが、14年度に近い量の生産が見込めるのではないか」との見方を示しています。

これまでの表年と裏年を繰り返すという流れが崩れただけに、市場や関係者の間では様々な見方が交錯しています。

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