ザ・コーヒービーン & ティーリーフはこのままだと日本から消えるかも?
2015年にブルーボトルコーヒーが日本に1号店を開いた際、コーヒー業界の変化に敏感な経済誌を中心に注目されました。
新しいものが来た時にから騒ぎし、ニワカが的外れな記事で知ったかぶりをするのはいつものことですが、ブルーボトルコーヒーもその例に漏れませんでした。
そのブルーボトルコーヒー上陸の陰にかくれ、ひっそりと日本に初進出したカフェがあります。
それが「ザ・コーヒービーン&ティーリーフ」。こちらはよほどアメリカのコーヒー業界事情に通じている人でなければ、注目することはありませんでした。
しかし、ザ・コーヒービーン&ティーリーフ(以下コーヒービーンと略)というのは、サードウェーブ系どころかスターバックスなどシアトル系よりもさらに歴史が古く、アメリカを代表するカフェチェーン。
創業は1963年。「コーヒー豆と茶葉」などという何のひねりもない名称が、逆に老舗の雰囲気をかもしだしています。
そもそも、アメリカで自家焙煎豆をカフェで提供するのも、エスプレッソドリンクを出したのも、シングルオリジンのスペシャリティコーヒーを取り扱うのも、コーヒービーンが始めたこと。
シアトル系もサードウェーブ系も、その後追いに過ぎません。
わかりやすく言えば、新海誠と宮﨑駿の前に手塚治虫がいたみたいな存在です。
よく、ネットやテレビの聞きかじりで、アメリカにはアイスコーヒーが無いとか、したり顔で言う人がいますが、コーヒービーンでは1980年代末から「アイスブレンディッドコーヒー」という形でアイスコーヒーも販売していました。
また、スターバックスは近年お茶専門店のティーバナを買収し、お茶の販売にも力を入れるようになりました。しかし、コーヒービーンはその名の通りコーヒーと同時に紅茶にもこだわりをもっており、最近では中国茶や台湾茶なども扱うようになっています。
このコーヒービーン、日本のことはずっとスルーしていました。中国や韓国に進出しても、日本には出店しようとしていませんでした。
それどころか、カンボジアやベトナムにも出店しているため、これは意図的に日本を無視していたのだとしか思えません。
もちろんその理由は明らかになっていないため、そこに変なベクトルがかかった想像をする意味はありませんが、1963年創業の世界的な企業が数十年も後発のカフェと同年にやっと進出したわけですから、そこになにか理由があったのは確かでしょう。
しかも、コーヒービーンの日本への進出は、築地銀だこを運営するホットランドの佐瀬守男社長が日本に出店させたいと10年もかけて熱心に働きかけた結果。
それがなければ未だ日本には店舗がなかった可能性もあります。
そもそも日本というのは文化的にガラパゴスのため、外国ではメジャーというような企業のことでも、よほどマスコミで騒がれたりしなければ知らない上、目も向けません。
コーヒービーンが日本において不利なのは、アメリカではあまりに一般的で、どこにでもあるカフェであるだけに、今更海外で騒がれることがないということ。そういうものは日本人は興味を持ちません。
日本で展開するために最も重要なのは知名度。味やクオリティなど二の次。実際、2016年4月にオープンしたコーヒービーンの南青山店は、わずか4ヶ月で閉店に追い込まれました。
2021年1月現在、コーヒービーンはイオンモールとアウトレットに日本であわせて2店舗を展開。しかし、これもいつまで保つかは不透明。
もしかしたら日本では幻のカフェになる可能性もあり、近所にある人は今のうちに行っておいたほうがいいかもしれません?