ダイドードリンコが自販機の配置変更で缶コーヒーの売り上げ増
広告や商業の世界には「Zの法則」というものがあるそう。
これは、新聞チラシやスーパー、コンビニの棚などを見るときに、顧客は左上をスタート地点として視線を「Z」の形に動かしていくというもので、ゆえにチラシや棚のレイアウトを「Z」を意識して、見せたいものを配置していくというもの。
でも、本当にそんなふうに視線を動かす人はいるんでしょうか?もしZ型に視線を動かすことがあるとしても、それはチラシを大雑把に眺めるときぐらいでしょう。
例えばスーパーやコンビニでは、だいたいの場合目当ての商品がありますから、その商品がある部分を探すだけ、棚全体をZ型に眺めるなどといったことはしないはず。
「Zの法則」は、自販機のレイアウトにも使われているようです。
しかし、自販機で飲み物を買うときも、そんなふうに目を動かして商品全体を確認してから飲むものを決める人はあまりいないでしょう。少なくとも私個人はそんなことはしません。
「Zの法則」というのはおそらく迷信のようなもの。
日本人にありがちなことですが、誰かがこういうことを言い出すとその時点で思考停止し、それが本当かどうか検証されることなく上から強制され、受け継がれてきたもの。受け継ぐ方も上から言われたとおりにしておけば責任をとらずに済みますから・・・。
ダイドードリンコは、そんな意味のない旧弊を科学的な検証で打ち破りました。ダイドードリンコが用いたのは、人間の視線の動きを追うことができる「アイトラッキング」という技術。
これを自社の自販機に設置して調査した結果、「Zの法則」などまったく当てはまらないことが判明。むしろ、左上からではなく下側から商品を見ることが多かったそう。
そこでダイドードリンコでは、主力商品であるコーヒーを下の段に置くようにしたところ、じわじわと売り上げが伸びてきたとのこと。
この変更はダイドードリンコ社内でも、思考停止して「Zの法則」にこだわる層からの反対もあったとか。
缶コーヒーの売り上げ減少は、コンビニコーヒーにシェアを奪われたせいだなどという分析もよく見ますが、実際のところはこうした無意味な法則にこだわっているせいなのかもしれませんね。