こんなに違う!日本とヨーロッパのコーヒーの違い
日本では2012年から13年にかけて、大々的なコーヒーブームが再びやってきました。ベルギーワッフルやシュークリームなど食べ物のブームは爆発的な人気になり、すぐ廃れてしまうものが多いですが、コーヒーについては第三波と呼ばれるブルーボトルコーヒーの上陸など、コーヒーに対する日本人の意識はまだまだ高まりそうな気配がします。
コーヒーブームが続いている日本ですが、ヨーロッパなどカフェ文化が古くから発達した地域とは異なる、少し不思議な日本独自のコーヒー文化があります。
1.缶コーヒーの存在
日本ではどこでも手に入る缶コーヒーですが、ヨーロッパでは見かけません。それはヨーロッパの場合、コーヒーは常に淹れたての新鮮なコーヒーを飲む文化であり、缶コーヒーのようにいつ作られたのか不明な形では見かけません。
特に市民レベルや国家レベルでエコ意識の強いドイツやオーストリアでは、飲料自販機そのものが必要最小限の空港や病院、その他大型施設にしか設置されていないことも影響しているでしょう。
2.主流はドリップ式コーヒー
日本ではサードウェーブのブルーボトルコーヒーやセブンイレブンの100円コーヒーなど、ドリップ式コーヒーが人気です。
しかし、約40種類ものウィンナーコーヒーが存在するウィーンでは、そのほとんどのベースがエスプレッソです。ウィーンだけでなくイタリアやフランス、スペインなどのカフェ文化が発達した国において、コーヒーと言えばエスプレッソです。
一例としてハプスブルク皇室御用達だったウィーンにあるカフェ・デメルについてご紹介しましょう。
ここでは12種類のコーヒーがありますが、ドリップ式コーヒーは1種類のみであり、残りはすべてエスプレッソにアレンジを加えたウィンナーコーヒーです。
さらに家庭でもエスプレッソが人気です。年配の世代では蒸気圧で抽出する直火式エスプレッソメーカーをまだまだ愛用していますし、若い世代でも多くの人がエスプレッソマシーンを持っています。もちろんドリップ式コーヒーがないわけではありませんが、少数派となっています。
3.シアトル系カフェの人気
90年代後半にスターバックスが日本に上陸してから、日本ではすっかりシアトル系カフェチェーン店が定着しました。
しかし、シアトル系コーヒーは意外と値段が高く、話題商品も甘いスイーツ感覚であるためにヨーロッパなどの昔からのカフェ文化を好む人たちにはあまり人気がありません。
例えばウィーンでスターバックスのコーヒーを1杯飲むとしたら、同じ金額でホテルザッハーなどの老舗カフェの素晴らしいコーヒーをまるで宮殿のように豪華な店内で飲むことができますし、テイクアウトするなら街のベーカリーなどで買える安価なコーヒーで十分楽しめます。
しかもイタリアの場合、街の至るところに存在するバルの立ち飲みエスプレッソのほうが断然美味しく、そして値段も1杯1ユーロ程度でありとても良心的です。
それだけでなくヨーロッパではコーヒーを自然な素材の美味しさで楽しむ傾向が強く、チョコレートソースやカラメルシロップなどの人工的な甘味料がたっぷり入ったスイーツ系コーヒーは敬遠されます。これらを飲んでいるのは、観光客か外国人留学生がほとんどです。
4.アイスコーヒー
日本では夏の風物詩にもなりつつあるアイスコーヒーですが、ウィーンをはじめとしたオーストリアやドイツで頼むとまったく違うものが出てきます。
これらの地域で”アイスコーヒー”と注文すると、冷たいコーヒーの上にホイップクリームとワッフルがこんもりと盛られ、さらにヴァニラアイスクリームがもれなくトッピングされて出てきます。実は”アイス”とはドイツ語でアイスクリームのことであり、パフェのようなアイスカフェ以外に冷たいコーヒーというものは存在しないのです。
スペインやイタリアではカフェ・シェケラートとカフェ・コン・イエロが冷たいコーヒーとして存在しますが、これはシェーカーにエスプレッソと氷、それに砂糖を入れて作るものだったり、氷が入ったグラスに熱いエスプレッソを注いで作ります。
日本で一般的な普通のコーヒーを冷たくし、そこにガムシロップを加えるアイスコーヒーはほとんどヨーロッパでは出会わないのです。
このようにコーヒーは国や地域によって日本とはまったく異なる文化があります。旅行などで外国に行く際には、その国のコーヒー文化を事前に調べておくと良いかもしれません。