缶コーヒーのアルミ化が進む!その現状と今後を検討

缶コーヒーにはスチール缶というイメージが強いですが、現在は徐々にアルミ缶へ切り替えが進んでいます。最大手である日本コカ・コーラは2013年からアルミ缶をブラックコーヒーに採用しており、2014年からはミルク入りにも拡大しています。その背景には業界団体が実施している自主規制を改めたことが関係しています。

業界団体の自主規制

全国清涼飲料工業会の資料を見ると、ボトルタイプを除いた缶コーヒーの多くはスチール缶が使用されています。2014年で見てみるとアルミ缶の割合は全体の15%しかありませんが、それでも量を確認すると前年より4倍以上増えています。

アルミ缶にはスチール缶に比べて錆びにくい点や、軽いので輸送コストを抑えられるというメリットがあります。しかしなぜ缶コーヒーではスチール缶が主流なのでしょうか。そのわけを日本缶詰びん詰レトルト食品協会の土橋芳和・常務理事は「ミルク入り飲料については衛生管理の観点から自主規制していた」と話します。

缶飲料では死亡率の高いボツリヌス菌がもっとも恐れられています。スチール缶の場合は菌が増殖すると缶が膨張し、消費者が飲む前に気づくことが可能です。しかしアルミ缶の場合は、薄いアルミでも強度を保てるように内側に窒素ガスなどを注入して内圧を高め、膨らんでいます。そのため菌による膨張を消費者が気づくことが難しいのです。

このような理由により、1985年に協会はボツリヌス菌が入る恐れがあるとされる「高温殺菌を必要とする飲料」について、アルミ缶を使用しないように自主規制を行いました。この規制はその後の研究により、ミルク入り飲料のみが危険であることが判明したため、1988年からは規制の範囲を狭めました。

そして2014年8月に、全国清涼飲料工業会に届け出をすることでミルク入り飲料でもアルミ缶を使用できるようにさらに変更しました。その理由について土橋氏は「ほかの食品と同様に、商品の安全性を保証する方法を製品個別に検査する方法から、生産工程を管理する方式に変更したのです。その背景には殺菌技術の進歩などがあり、国際的な食品加工の衛生基準であるHACCP(ハサップ)認証を受けているような工場での生産であれば、アルミ缶を使用しても問題ないと判断しました。」とコメントしています。

日本コカ・コーラの「転缶」

この変更を受けて日本コカ・コーラではアルミ缶を増やしました。現在では缶コーヒーブランド「ジョージア」シリーズのラインナップのうち、半数以上についてアルミ缶へ変更されています。

広報担当者はブラックコーヒーに初めてアルミ缶を用いた際に、「アルミ化が影響しているかわかりませんが、香りがより引き立つような感じを得た」と話しています。今後については「お客様にとっての扱いやすさと、メーカー側のコストなどビジネス的な様々な要因がある中で、スチールとアルミという二つの選択肢から柔軟に対応していきたい」としています。

スチール缶はそれでも残る

この流れを受けて、すべての缶コーヒーはアルミ缶になるのかと言うと、必ずしもそうではないようです。鉄鋼メーカー側も、スチール缶の厚みを薄くするなど軽量化に努力しています。また、鉄鋼メーカーは飲料会社にとって原料の供給元というだけなく「お客様」という面も持っています。

大手ビール会社では、現在でも少量のスチール缶を使用した缶ビールを製造しています。その理由は「鉄鋼業界の会合などで指定されるため」と話します。

また、ある業界関係者は「飲料メーカーは鉄鋼が盛んな地域向けには、あえてスチール缶で商品を作っています。飲料業界は裾野が広い産業であり、『自分たちが作っているものを使った商品を購入したい』という消費者の気持ちはやはり大きいのです。スチールをやめるわけにはいかない。」と話しています。

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