ボトル缶タイプの缶コーヒー市場に各社が次々と新商品を投入

キャップが閉められる「ボトル缶」の缶コーヒー。清涼飲料大手各社がいま商品開発に力を入れています。

伊藤園は初めてグループであるタリーズコーヒージャパンと共同で高価格帯商品を開発し、販売しました。ダイドードリンクも特徴のある塩入りコーヒーなどの商品を増やしています。コンビニエンスストアの淹れたてコーヒーに需要を奪われつつある缶コーヒーですが、持ち運びしやすいなどのメリットがあるボトル缶の需要は増えており、各社はボトルタイプを切り札として巻き返しを狙っています。

2014年の缶コーヒー飲料市場は3億5,800万ケースとなる予想で、これは前年と比べて2.5%の減少。一方、コンビニ大手5社が販売する淹れたてコーヒーの販売料は13億杯と前年に比べて倍増する見込みです。これはコーヒー飲料市場の6分の1程度を占める規模。

飲料大手からは「コンビニでの缶コーヒーの売り上げは5%程度、マイナスの影響が出ている」との声もあります。コーヒーは清涼飲料の中でも最大規模であり、飲料各社にとっては主力商品。そのため、缶コーヒーの中でも需要のあるボトルタイプの開発を行い、コンビニコーヒーに対抗しようとしています。

伊藤園は従来の希望小売価格より5円高い「プライムブラック」(285ml、税別129円)をタリーズブランドから発売しました。「プライムブラック」にはカフェ「タリーズコーヒー」が使用している高品質なグアテマラ産コーヒー豆を20%使用し、さらに香りやコクを深めるために豆の使用量を1割増やしました。

また、約13億円を投資し、コーヒー豆の焙煎専用棟を静岡県にある工場に整備し、コーヒー豆の加工品質を高めています。タリーズ缶は2014年4月期に1千万ケースという前の期に比べて12%の増加を目指します。

同社は小売店でのボトル缶コーヒーのシェアは1位。高速道路のサービスエリアなどへも積極的に売り込みを展開し、中期的にコーヒー飲料全体でのシェアを現在の4%から10%に引き上げる狙いです。

ダイドーは世界各地の特徴あるコーヒーを再現した「ワールドレシピ」シリーズをボトル缶で展開。バラの香りが特徴の「ローズブラック ペルシャスタイル」(275ml、税別130円)を販売したほか、夏向けの商品として塩を加えてまろやかな甘みとなる「ソルティアイス カリビアンスタイル」を販売。

同社のボトル缶商品の2015年1~5月における販売料は前年同期に比べて2.5倍と順調ですが、秋以降も新たな商品展開を行って中心顧客である40代以上の男性のほか、女性や若者への浸透も狙います。

缶コーヒー最大手であるコカ・コーラグループは主力である「ジョージア ヨーロピアン」をコーヒー専門店「猿田彦珈琲」の監修、指導を受けながら製法を見直してリニューアルし、ブラックとブレンドの2種類でボトル缶商品を投入。

サントリー食品インターナショナルも「ボス」シリーズのボトル缶を2商品改良。ブラックは飲みやすい味わいとするために豆の焙煎方法を変更しました。同社のボトル缶コーヒーにおける2015年1~5月の販売料は前年に比べて2割強増加しています。

キリンビバレッジも自動販売機での「ファイア」シリーズのボトル缶商品である「ブラック リラクシング」の取扱いを増やし、2015年1~5月は前年同期と比べて4割増しの売れ行きと好調です。

業界推計では、コーヒー飲料全体の市場は09年の9,662億円から13年には9,387億円と2.8%減少となりました。しかし、ボトル缶の販売料を見ると同期間に2.1拡大しており、缶コーヒー全体のなかでは約6%から約14%に成長しました。

飲料業界に詳しい飲料総研(東京・新宿)の宮下和浩取締役は「ボトル缶コーヒーは仕事中や移動中の『ながら飲み』もしやすい点が支持されている」と話します。ボトル缶は飲み口が広くて香りがより楽しめるほか、従来の缶コーヒーと比べて容量が260~400ミリリットルと多く、値ごろ感がある点も支持されています。

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