いろいろな意味でコーヒー業界の争いがアツい

もともと日本にはなかった味なのに、日本人の舌を捉えて離さないというものがあります。例えばカレーやラーメンなど。もちろん日本人好みの味に変わっているとはいっても、外来のものであることは違いありません。コーヒーもまたその一つでしょう。

それだからこそ「コーヒー戦争」のごときものが発生する訳でして・・・

まるでコーヒー業界への殴り込みとでもいうようなセブンイレブンの「セブンカフェ」による参入以来、コンビニが続々とカウンターコーヒーを提供するようになり、日本のコーヒー勢力図は大きく変化しました。コンビニのカウンターコーヒーが急速に広まり、受け入れられていく中で、その影響を受けたのは同じ価格帯のマクドナルドのプレミアムローストコーヒー、そして自販機販売の缶コーヒーでした。逆に、価格帯も方向性も全く違うスターバックスなどのカフェはそれほど影響を受けていないように見えます。

こうした流れの中、缶コーヒーメーカーは大雑把に分けて二つの行動に出ました。まず一つは、缶コーヒー事業からの撤退。「ルーツ」ブランドのJT、「ネスカフェ」ブランドのネスレは、自動販売機とコンビニでの缶コーヒー販売から完全に撤退。特にJTは缶コーヒーのみならず「桃の天然水」なども含んだ飲料事業自体を廃止。

一方、ネスレは、自社開発の「レギュラーソリュブルコーヒー」専用コーヒーマシン「ネスカフェ ゴールドブレンドバリスタ」や、アメリカなどでは広く普及しているカプセル式コーヒーマシン「ネスカフェ ドルチェ グスト」など、コーヒーマシンと専用カートリッジ、もしくはカプセルの販売を主力とし、それらのマシンをオフィスや家庭に無料提供し、専用カートリッジ、カプセルを定期販売するという業態を推進しています。

JTやネスレとは逆に、コンビニとの連携に活路を見出そうとしているのが日本コカコーラグループ。日本コカコーラグループは、セブンカフェによって侵攻してきた外敵であったセブン&アイ・ホールディングスと缶コーヒーを共同企画。いわば、膝を屈する形で生き残りを目指します。しかし、歴史上敵国と連携策をとった国がどうなったかを見れば、この生き残り策はむしろ自らの首を絞める結果になりかねないのではないでしょうか。

さて、ネスレはインスタントコーヒーとは呼んでいないものの、製法や味は問わないとして、その形状からは事実上インスタントコーヒーである「レギュラーソリュブルコーヒー」、それと競合しているのが、マキシムとブレンディの二つのブランドのインスタントコーヒーを販売する味の素ゼネラルフーヅ(AGF)です。

AGFは、味の素とクラフト・フーヅ・ホールディング・シンガポール社の合弁会社ですが、その合弁を解消。2015年10月に、味の素はクラフト・フーヅ・ホールディング・シンガポール社が持つ株式を取得し、AGFを完全子会社化する予定です。味の素はこの子会社化により、AGFが持つ家庭用飲料市場を拡大していくとしています。

それらの流れとは別系統で、カフェチェーンの競争も激しくなりつつあります。スターバックスは米本社がスターバックスジャパンを子会社化して日本での展開を強化。それに対し、アメリカでシェアを拡大しつつある「サードウェーブ」の「ブルーボトルコーヒー」も上陸しました。

様々な形でそれぞれしのぎを削っている状態ですが、ユーザーからすれば選択の幅が増えるのはいいことでしょう。ただ、あまりにライバルとの戦いばかりに夢中になって、双方共倒れという末路にならなければいいのですが・・・。

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