新しいスターバックスはメニューの拡充とIT技術がキーワード

アメリカのコーヒーチェン最大手であるスターバックスが、「多角化」と「IT(情報通信)」をキーワードに攻めの経営を続け、一段の成長を目指しています。

具体的にはコーヒー一辺倒からの脱却を加速するためのフードメニューや紅茶部門の強化・拡充、酒類の販売開始などを実施するとともに、今年から全米でスマートフォンアプリから注文できるようにするサービスも導入する計画だそうです。

同じアメリカ発のマクドナルドなどは客離れに悩んでいますが、スターバックスでは積極的に新しいサービスを行うことで一層の顧客獲得を狙います。

同社は先月、朝食メニューとして、ロール型クロワッサンを使用したサンドイッチメニュー「ダブルスモークトベーコン・チェダー&エッグ」を全米で販売を開始。同社は昨年にもサンドイッチの新メニューとしてチーズやターキーを使用したパニーニを投入しており、今回の新メニューはそれに続くものです。

スターバックスはもはやコーヒーの同義語のような存在となっていますが、ここ最近は「多角的な成長」によってその概念を打ち破ろうとしています。

サンドイッチ類の強化だけでなく、傘下であるベーカリー店「ラ・ブーランジェ」ブランドの新作ペストリーも販売を開始。また、一部の店舗ては夜間に小皿料理やアルコールの試験的な提供も開始しているほか、軽食セットを「ビストロ・ボックス」という名で試験販売している店舗もあります。

昨年末の会議で同社のライアン最高戦略責任者は、「当社はもはや『ワントリックポニー(得意芸が一つしかない子馬)』ではない。そんな時代はとうの昔に過ぎ去った」と多角化を強調しました。

実際にアメリカ国内の売上高に対する内訳を見ると、既にコーヒー以外の売り上げが約30%を占めています。具体的にはフードが18%、紅茶が10%となります。

同社の広報担当は、コーヒーについて「常に当社の事業の中核を占める」と説明していますが、売上高全体におけるコーヒー以外の製品の割合が上昇していくとの見通しを示しています。

スターバックスは2019年までの目標としてフード売上高を倍増させ、全体の売上高のうち25%まで引き上げることを目指しています。スターバックスの店舗は全米で12,000店舗ありますが、販売の半数近くが朝の時間帯に集中しています。そこで新たなフードメニューを投入し、ほかの時間帯での客足を伸ばしたい考えです。

この同社によるフード部門の強化は、マクドナルドや米バーガーキングなどが行っている迅速なサービス提供を目指し、メニュー削減や商品の簡素化を進める動きとは対照的。アルステッド最高執行責任者(COO)はフード製品の拡充により「店舗での作業としてはこれまでで最も複雑なものになった」と話しています。

紅茶部門についても同社は今後5年間で売上を20億ドル(約2401億6000万円)に倍増させることを目標としています。今年1月、シュルツ最高経営責任者(CEO)は投資家に対して傘下の紅茶専門店ティーバナや紅茶について、「世界中のスターバックスにとって巨大な戦略的機会となる」と話しています。

紅茶は同社が重要市場とする中国ではコーヒーよりもずっと人気が高く、さらにアメリカでもまだまだ開拓の余地があるとされているからです。

このような事業の多角化と並んでスターバックスが力を入れているのがITの活用。同社は2014年12月にモバイル機器を使って注文できるサービスを米オレゴン州ポートランドの店舗に導入し、これを2015年全米に拡大。

さらに2015年後半には一部地域で商品の宅配サービスの開始も目指すとのことです。これは「Eコマース強化」としてシュルツ氏が掲げる戦略の一環。

決済技術という分野でもスターバックスは小売業界を牽引する役割になりつつあります。シュルツ氏によると、アメリカの店舗では利用者全体の16%が購入時の決済をモバイル機器経由で行っており、1300万人ものアクティブユーザが同社のアプリを使って支払いを行ったりポイントを獲得したりしているとのことです。

さらに同社は長期休暇に入ったアルステッドCOOの後任に米通信機器大手ジュニパーネットワークスの元CEOを宛てました。

アナリストはこれを「技術分野に一層傾注する」動きと見ています。

これらの成果か、同社の2014年10~12月期決算は純利益で9億8310万ドルと前年同期と比べて82%の増加、さらに既存店の売上高も5%増加しています。

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