スターバックスの批判に対しスターバックスを擁護してみる

1971年にアメリカ・シアトルで誕生して以降、今日までに65カ国もの国に2万店以上の支店を展開し、「シアトル系」の旗手として一時代を築きたスターバックス。しかし、それだけにアメリカ国内には批判の声も多いようです。

スターバックスファンとして、そうした否定的意見に微力ながら反論したいと思います。

◆焙煎しすぎ

スターバックスはイタリアのエスプレッソ文化をアメリカに持ちこみました。そのスターバックスのコーヒーについて「焙煎しすぎ」という批判があり「チャー(黒こげ)バックス」などという悪口を言う人もいるようです。

アメリカではシアトル系のカフェが広まるまでは、浅煎り豆で淹れるコーヒーが主流でした。かつて日本で「アメリカンコーヒー」というと、「薄いコーヒー」であるという誤解がありましたが、そうではなく、浅煎り豆で淹れた酸味があり、あまり苦味やコクがない味がアメリカで好まれていたコーヒーなのです。

しかし、エスプレッソは反対に深めの焙煎をした豆が使われます。一般的にコーヒー豆の焙煎程度は8段階ですが、伝統的にアメリカで好まれていたのは2段階目のシナモンローストや、3段階目のミディアムローストでした。それに対し、エスプレッソの場合は、5段階目のシティローストから7段階目のフレンチローストぐらいの焙煎度合いの豆が使われます。

つまり、長年浅煎りの豆に慣れ親しんでいたアメリカの人たちにとっては確かにスターバックスで使われる豆は焙煎しすぎだったかもしれませんが、だからといって黒こげということもありません。深めの焙煎で淹れたコーヒーの苦みやコクに戸惑った人が驚いて、否定的なことを言っているだけでしょう。

◆事業拡大しすぎ

スターバックスは現在、ギリシャ神話の人魚・サイレンを描いたおなじみのロゴマークからそれまでサイレンを取り囲むように書かれていた「STARBUKS COFFEE」という文字を取り去ってサイレンのイラストのみにしています。

これについて、売り上げの中で飲料が占める割合は26%にも過ぎず、その26%の中でもコーヒーの割合が減っている。それはジュース会社を買収したり、音楽業界に進出したせいだという指摘があります。

スターバックス開業当初、現CEOのハワード・シュルツは、エスプレッソこそスターバックスの本道であるというこだわりがありました。しかし、事業が拡大していく中で、より多くの顧客のニーズに応えるために他の社員からの意見を取り入れ、牛乳のかわりに豆乳を選べるようにしたり、暑い地域に進出した折につめたいフラペチーノを開発したりなどという試みをしてきました。

スターバックスが様々な国に受け入れられる中で、その店舗はある意味コミュニティスペースとしても利用されるようになっていきました。そうなると、コーヒーを飲めないという人や、子連れで訪れる人の子供向けのメニューもそろえなければいけません。

コーヒーを本道に据えながらも、いろんな人に対応していくというのは単なる企業努力に過ぎず、そこを批判するのはただのいちゃもんではないでしょうか?

とはいえ音楽事業への進出はちょっとやりすぎという感は否めませんが・・・

◆余計なメニューで失敗している

スターバックスは様々な商品を開発していく中でいくつかの失敗作も生み出しています。

例えば、ペプシとのコラボ商品であるコーヒーソーダ「マザグラン」。ミルクチョコレート味のホットチョコレート「チャンティコ」。ヨーグルトシャーベットドリンクなど。

しかしこれもまた企業努力としてのチャレンジに過ぎず、失敗と言う結果を見てから失敗したと批判するのは卑怯というものです。

◆パートナー(従業員)と揉めた

スターバックスでは従業員を「パートナー」と呼んでいます。そのパートナーと会社が揉めたことがあるんだぜ!という批判があります。

しかし、スターバックスの労働環境はかなり良いもので『フォーチューン』誌による「最も働きたい企業100社」にも常に入っています。

それだけ労働環境が良い企業でも、100%労使間のトラブルをなくすことは不可能でしょう。しかし、スターバックスは「ブラック企業」と呼ばれる類からは全く遠い存在であり、労使間のトラブルを批判するならもっと批判すべき企業がいくらでもあるはずです。

◆「サードウェーブ」に押されている

最近アメリカでは、コーヒー豆の産地にこだわり、顧客一人一人の好みに合わせた味を出す「サードウェーブ」と呼ばれるカフェが増えています。マニュアルによって画一的な味のコーヒーを出すスターバックスは、こうしたサードウェーブのカフェに押されているというのです。

しかし、スターバックスは非常にオプションメニューが豊富なカフェです。自分でオプションを加えていくらでも自分好みの味に改造できます。また、非公式ながらそれぞれの店のバリスタが作るオリジナルの味もあります。そうした非公式メニューはスターバックスのスタッフブログで公開されることもあります。

それでも物足りないというなら、文句を言っていないで好みの味を出す店にいけばいいだけの話です。

◆スターバックスラテなら自宅でも作れる

家庭用のエスプレッソメーカーが普及してきたために、スターバックスラテと同等の味は自宅でも作れる。だからスターバックスに行ってお金を払って飲む必要はないんだ。そういうことを言う人もいるようですが、ではそういう人は、「自分でうまい料理が作れればレストランで食べる必要はないんだ」とでも言うんでしょうか?非常にバカバカしい考え方だと思います。

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