澄んだコーヒーは美味しさの証?
澄んだコーヒーは美味しさの証であるとか、透明度のないコーヒーは原料が悪いとか、淹れ方が悪いとか、体に悪いとか色々な事が言われているようです。
それでは、果たしてこれは本当なのでしょうか?確かにフィルターで濾過した透明なはずのコーヒーでも、濁ってきたり、液面に油のようなものが漂ったりするのを目にした事はないでしょうか。
油のようなものの一因は器具の汚れにあるようです。コーヒー自体に問題があるわけではなく、用いた器具に付着していた汚れが湯に洗い出されてカップに混入する事もあるのです。
それらを考慮すると、器具のメンテナンスも美味しさを得る為の一要素でしょう。美味しさを損なわないように日々を気をつけたい所。
抽出液の濁りは成分の問題です。コーヒーに含まれる様々な物質のお湯への溶けやすさは同じではありません。水でもお湯でも簡単に溶けるものもあれば、水温が上がるにつれて溶けやすくなる物質もあります。
ここで濁りの問題になるのは後者の方です。カップに注がれたコーヒーの温度は徐々に下がっていきますから、当初は溶けていたものが温度の低下に伴って溶けていられなくなって出てくることがあります。これが濁りの原因でしょう。
また、成分の中には他の成分とくっつきやすいものもあります。代表的なものを挙げるとすると、カフェインとクロロゲン酸類です。この、カフェインとクロロゲン酸類というのは、コーヒーの中で一度くっついてしまうと溶けにくくなるのです。溶けなくなったものは、やはり濁りの原因となります。
このような濁りは、原因となる物質であるカフェインやクロロゲン酸類を多く含むコーヒーに起こりやすい傾向があります。例えば、一般に低級品とみなされる事の多いカネフォラ種と呼ばれる物はカフェインとクロロゲン酸類の率が、アラビカ種と呼ばれるものより多めですから、カネフォラ種の配合比率が多いと濁りやすくなるのです。
ただし、高品質と評価されるアラビカ種の中にもクロロゲン酸類の含有率の多いものがありますから、原料が悪いと濁るとは一概に言えません。
また、クロロゲン酸類の含有率は深煎りになるにつれて減少していきますから、浅煎りの方が濁りやすくなると言えるでしょう。
濁りを生む原因はいずれも嗜好の問題に関係しており、原料の悪さや抽出技術の低さが原因であるとは一概に言えません。そしてこの濁りが体に悪いという事も一概には言えません。