「セブンカフェ」の影響がこんなところにまで?気になる今後のドーナツ戦争
セブンイレブンといえば近年店頭での淹れ立てコーヒーが大ヒットしましたね。
100円という低価格でおいしいコーヒーが手軽に飲めるとは、おそらく多くの人々のコーヒーに対する価値観を変えたに違いありません。
おかげで缶コーヒーメーカーやファーストフード店は大打撃だったとか。
どこかがヒットすれば、何かが売れなくなったりと、経済というものは常にお互い影響し合っているものです。
その経済に大きな波及をもたらしたセブンイレブン、次なる戦略を打ち立てているようです。
それはコーヒーと相性抜群のスイーツのひとつ、ドーナツをレジ横で販売するという計画。
しかも、袋入りの菓子パンと違い、工場から3時間以内に配送された出来立てのものを保温什器に入れて販売するのです。
もうすでに一部店舗で試験販売されています。
見た目はあの「ミスド」ことミスター・ドーナツのものにそっくりなのですが、価格は100~130円程度、ミスドより低価格です。
コーヒーを買ったときにレジ横にホカホカドーナツを見つけたら、しかも100円くらいだったら・・・やっぱり買ってしまいますよね。
コーヒー片手にパクっといける食べ易さも受けそうです。
消費者心理をガッチリつかむセブンイレブンの戦略、これは、かなり経済に大きな影響を与えそうです。
コンビニ各社への影響
そこで黙っていられないのは他のコンビニ各社でしょう。
セブンの動向を聞きつけたローソンやファミマも既にドーナツの試験販売を始めました。
実は、それより先に動いたのはサークルKサンクスといわれているようです。
しかし、あまり売れず、すぐに販売中止になってしまったとか。
セブンイレブンは試験販売で1日1,000個を売り上げた店舗、コーヒーの売り上げも同時に上がった店舗など先行きは上々のよう。
販売目標は年間6億個とのこと、コーヒーは年間6億杯売り上げる見通しといいますから、充分実現可能な数字です。
このままセブンイレブンの独走状態が続くのでしょうか。
ミスド他、ドーナツ専門チェーン店も黙っていられないでしょう。
もちろん、株価にも動きがありました。
しかし、それが思わぬところに波及しているようです。
株価への影響
「セブンカフェドーナツ」販売の報道は株価に大きな影響を与えました。
セブン&アイ・ホールディングスのみならず、株価は芋蔓式に影響しますから、ドーナツ生産に関わるとみられる製粉大手の昭和産業の株が報道の影響で多く買われました。
セブンイレブン向けの菓子パン製造は昭和産業子会社のスウィングベーカリーが行っているため、注目されたのでしょう。
他の注目要因に「セブンゴールド 金の食パン」での実績があります。
セブン&アイはかつて傘下のイトーヨーカ堂にて1斤250円もする食パンを大ヒットさせました。
通常の食パンが100円程度ですから、そのすごさが伺えます。
大ヒットの要因は、しっとりして甘みが強いとされるカナダ産の小麦粉を使用したことが大きいのですが、この小麦粉の使用を提案したのが昭和産業だったとのことです。
結果、昭和産業の株価は過去10年の最高値を更新しました。
報道時点でどの社が生産に関わるかははっきりしていませんが、投資家の昭和産業への大きな期待が伺えます。
ドーナツ製造は今のところ、昭和産業の子会社ではないかといわれています。
関連会社への影響
昭和産業の筆頭株主は伊藤忠商事です。
ですから、昭和産業の株価が急進すれば伊藤忠にもよい影響があるはずです。
しかし、なかなか妙な立場に立たされたようなのです。
筆頭株主なら経営に歩調を合わせるのは当然のこと、事実2社とも経済の成長が見込まれるベトナムの会社に出資しています。
ホーチミンのインターミックス社ですが、昭和産業が30%、伊藤忠も5%株式を取得しているのです。
しかし、伊藤忠商事はコンビニ大手、ファミリーマートの親会社。
そう、現在業界3位のファミリーマートとセブンイレブンとはライバル関係に当たるのです。
伊藤忠はファミリーマートの株式を31.9%保有している上、自社から社長も送り込んだという関係です。
かたやセブンイレブンとの結びつきがますます強固になりそうな昭和産業・・・。
「セブンカフェドーナツ」の成功がファミリーマートの躍進を阻むのだとしたら、伊藤忠商事はどう態度を示せばよいのか、板挟みのような、妙な立場に立たされてしまいました。
経済の影響は思わぬところに波及するのもです。
今後も、様々な意味で「セブンカフェドーナツ」の動向に注目が集まるでしょう。