ブルーボトルコーヒーにはなぜ2時間半もの行列ができたのか?
「ブルーボトルコーヒー」の日本1号店では、コーヒーを買うために2時間半待ち。
あなたはコーヒーを1杯買うために2時間半も並べますか?
2015年2月「コーヒー界のApple」こと、「ブルーボトルコーヒー」が清澄白河に日本1号店をオープンした際、2時間半の待ち時間が発生しました。さらに3月7日にオープンした青山の日本に号店でも同様に行列が発生しました。
同社の創業者ジェームス・フリーマン氏は、元フリーのクラリネット奏者でした。しかし彼が音楽の道を断念した際、彼がもう一つ情熱を注いでいたのがコーヒーだったのです。彼が本当においしいコーヒーを作りたいと、自宅のガレージでスタートした小さなコーヒーショップは、今ではアメリカの多くの人が支持し、サンフランシスコからニューヨーク、ロサンゼルス、そして東京という4都市18店舗を展開するチェーン店に発展しました。
行列のブルーボトルと行列のできない「日本の喫茶店」の違いは?
「美味しいコーヒーを提供する」という観点では日本に古くからある「喫茶店」も同じでしょう。実際、ジェームズ氏はブルーボトルを創業する際に日本の喫茶店文化に影響を受けたと話していますし、東京が同社の世界進出の最初に選ばれた理由もそこにあるようです。
それなのになぜ「ブルーボトルコーヒー」には多くの人が行列し、日本の「喫茶店」では行列ができないのでしょうか。その原因は「話題性」と「こだわり」
「コーヒー界のApple」には世間が注目するキーワードが多い
同社はGoogleやTwitterの創業者が出資していることなどから、アメリカでは「コーヒー界のApple」と呼ばれるほど人気のコーヒーショップ。その人気のコーヒーショップが「日本・東京にオープンする」、そして東京が同社の「世界展開の最初の都市である」、代官山や表参道ではなくあえて出店先を「清澄白河」という場所にしたこと、日本人に人気のあるスタバに異を唱えていることなど多くの注目されるキーワードが存在します。
そのため多くのメディアに取り上げられ、ブルーボトルのこれまでの経緯や提供しているコーヒーの価値にも注目がさらに集まります。そしてその情報がコーヒーファンを中心に拡散され、人々の「そんなにすごいコーヒーをぜひ体験したい」という欲求が刺激されてこのような行列が出来たのだと考えられます。
ブルーボトルの細部までこだわる魅力を最大化
さらにこのような話題性だけでなく、「美味しいコーヒー」を提供することに対するこだわりも行列につながった一因でしょう。ブルーボトルコーヒーではコーヒー豆を自身で買い付けに行ったり、美味しいコーヒー豆の生産のために生産者をサポートするフェアトレードにこだわったり、新鮮でオーガニックな豆を自家焙煎することや、さらに焙煎した後48時間以内の豆しか使用しないこと、そして丁寧に1杯ずつ淹れることなど様々なこだわりがあります。
このようなコーヒーの味に直接影響する部分だけでなく、お店のインテリアやコーヒーの見せ方や提供の仕方、売り方などすべてのアプローチについてこだわっているところが「コーヒー界のApple」と言われる所以でもあります。そしてこのように細部にわたりこだわることで、ブルーボトルコーヒーの魅力を最大限に発揮しているのです。
「話題性」と「おいしさへのこだわり」の相乗効果
つまり2時間半の行列は、ついつい誰かに話したくなる「話題性」と、人々のぜひ飲みたいという欲求をうまく刺激する「おいしさへのこだわり」が相乗効果となり発生したのです。
最近ではコーヒーメーカーも進化して機能が充実し、だれでもボタン一つ押すだけで手軽に美味しいコーヒーを作ることができます。スタッフが1杯ずつ丁寧に手作業で淹れるコーヒーは、時間もかかりますしスタッフによって味が若干変化するかもしれません。
それでもボタンを押してマシンが作るコーヒーではなく、自分のために人が丁寧に淹れてくれた人のぬくもりが感じられるコーヒーを、そのコーヒーを飲むために作られた空間で飲みたいという理由で人は行列に並ぶのかもしれません。