宇宙空間でも淹れたてコーヒーを飲める時代になっていた
「宇宙空間でも淹れたてコーヒーが飲みたいんじゃあああああ!!!!」と叫んだ宇宙飛行士がいたかどうかはわかりませんが・・・
2015年7月23日に、日本人宇宙飛行士「中年の星」油井亀美也さんが登ったことでも注目されるISS=国際宇宙ステーションには現在「ISSpresso」というイタリア製のエスプレッソマシンがあるそうです。
「ISSpresso」は、イタリアの大手エスプレッソマシンメーカー「Lavazza」が、イタリア宇宙機関などと協力して開発したもの。「ISS」と「espresso」をかけたネーミングも秀逸です。
最近は、通販番組でもカプセルにコーヒーの粉や茶葉が入っていて、カプセルをセットするだけでコーヒーやお茶が適切な抽出方法で出てくるという機械が売られていますが、「ISSpresso」もそれと似たような方式により、カプセルに入った豆からコーヒーを抽出することができます。
とはいえ、宇宙空間で使うためには、地上で使うのとは比べ物にならない安全性が求められます。無重力の宇宙空間では、熱湯が漏れでただけで大惨事につながる可能性もあるからです。また、カプセルからコーヒーを抽出するためには熱湯に圧力をかける必要もあり、「ISSpresso」には宇宙空間で熱湯に圧力をかけて用いるために非常に高度な物理学と流体力学が応用されています。
「ISSpresso」の外見は、よくある市販のカプセル式のコーヒーメーカーとは異なり、まるで何かの実験に使うかのような白い箱です。前面には透明な扉がついていて、それを開くとコーヒーを飲むためのパックをセットするようになっています。そう、無重力の宇宙空間ではカップに注いで飲むというわけにはいかないので、ゼリー飲料のようなパックに抽出して飲むことになるのです。
ちなみに、ISSに「ISSpresso」を運んだのは、NASAが契約している世界初の民間宇宙輸送会社「スペースX」社の無人輸送ロケット「ドラゴン」で、ISSへの補給業務は6度目となります。
「ISSpresso」は、コーヒー以外にもお茶やスープまで作れるそうです。今の時代に「わざわざ嗜好品のための道具を開発して宇宙まで送るなど!」などということを言う人もいないでしょうが、この技術が将来的に何かに応用され、活用されるという可能性もあり、宇宙ステーションという地上とはまったく違う環境の閉鎖空間に長期滞在する宇宙飛行士たちが、淹れたてのコーヒーやお茶を飲んで一息つくということも必要でしょう。
ということで、「ISSpresso」はまったく無駄なものではありません。
NASAはさらに、無重力空間でもカップでコーヒーを飲める技術を研究中とのこと。パックから熱いコーヒーを吸い込んでやけどしないものかと余計な心配もしてしまいますが、この研究が実を結べばそんな心配もなくなりますね。
油井さんも「ISSpresso」で淹れたコーヒーを楽しんだのでしょうか?