Blue Bottle Coffeeは日本の喫茶店が原点
コーヒー界の”Apple”と呼ばれるBlue Bottle Coffee(ブルーボトルコーヒー)が2015年2月6日に日本1号店を東京の清澄白河にオープンしました。
Blue Bottle Coffeeでは毎日焙煎した新鮮な豆を使用し、機械ではなく熟練したスタッフが一杯ずつ手でドリップするという”こだわり製法”が人気となっています。清澄白河店のオープン日には開店する前に100人もの人が行列を作るほどの人気ぶりで、続いて青山2号店も2015年3月7日にオープンしました。さらに3号店を代官山に出店する予定もあり、一気に日本でブームが訪れる予感がします。
日本においてBlue Bottle Coffeeがすぐに受け入れられた要因として大きく二つが考えられます。一つ目は日本の喫茶店文化がBlue Bottle Coffeeの原点であるということです。創業者であるジェームス・フリーマンCEOは、アメリカの次の進出先として日本を選んだ理由は、海外への事業拡大ではなく日本に進出するすることにあったと言います。
ジェームス・フリーマンは元々「コーヒーが好き」だという思いから事業を発展させてきた人物であり、日本の喫茶店にも足を運んでいました。そこで日本の喫茶店文化に触れた彼は日本人の特徴としてこう述べています。
「日本には伝統的な職人気質が存在し、コーヒーに関するオリジナルの技術やナレッジをその人だけが知っているという特徴がある」。アメリカのファストフードでは見られない職人気質が、「美味しいコーヒーを提供したい」という彼の思いに響いたと考えられます。
Blue Bottle Coffeeでは味だけでなく、サービスやホスピタリティも日本のおもてなしの精神を彷彿させます。このようにアメリカのスタイリッシュさを持ちながらも、日本人的な感覚が日本人に受け入れられる理由と考えられます。
もう一つの理由として、日本の消費者がチェーン店に対し求めるものが変化していることが挙げられます。日本では1945年以降の欧米化主義のもとで「安さとスピード」を掲げたチェーン店が勢力を広げ、コーヒー業界でもその安さとスピードに太刀打ちできない小さな喫茶店の多くが潰れてしまいました。しかし、近年の消費者は今までのような安さと早さだけでなく「品質」や「安全性」のような質の向上を求めるようになりました。
皮肉なことにコーヒー業界において、我々は一人のアメリカ人によって日本の職人文化を思い出すことになるのではないでしょうか。