ドーナツ販売にも参入したローソンのカフェ展開がわりと本気
コンビニのカウンターコーヒーは、一時期のブームも落ち着きすっかり定着した感があります。そうした流れの中、次にセブンイレブンが仕掛けたのが、セブンイレブンのカウンターコーヒー「セブンカフェ」のお供としての「セブンカフェドーナツ」でした。
日本では、ドーナツのチェーン店と言えばミスタードーナツが一強。一時期、クリスピー・クリーム・ドーナツに行列ができるなどという現象が起きたものの、ミスドを脅かすほどではありません。
燃料費や原材料費などが高騰するご時世で、ミスドが値上げを発表したのと同時期に、セブンイレブンがドーナツ業界にも殴り込みをかけたということで話題性は十分でした。
もちろん、それまでもセブンイレブンのパン売り場には若干の種類の袋入りドーナツが置かれてはいたわけですが、それとは違い自社工場で作ったドーナツをセブンカフェの機械の横に並べ、コーヒーと一緒に買ってもらおうという販売方法です。
しかも、そのメニューはチョコがけオールドファッションや、もちもちリングドーナツなど、明らかにミスドの人気メニューのパクリ。価格帯も100円から110円と、ミスドよりも割安に設定してきています。このような、セブンイレブンの挑発的な新戦略に、ミスドはドーナツ業界の裾野が広がると余裕を見せています。
カウンターコーヒーの時もそうでしたが、新しいサービスをどこかが始めると、同業他社がパクって追随するのはいつものこと。ドーナツについても、まずファミリーマートが真似をしました。ファミマのドーナツにもチョコがけオールドファッションやポンデリング風のパクリ商品「モッチリング」などがあります。
そして、2015年4月には、コンビニ大手3社の中では最後に、ローソンもドーナツ販売を始めました。こちらも基本的には他の会社と同様のミスド商品をパクっていくスタイルですが、他の2社と違うのは独自に「ハワイアンドーナツ」と称する商品を投入したことです。
ハワイアンドーナツは、ポルトガルの伝統菓子「マラサダ」がベースとなったドーナツです。それがハワイアンドーナツとして売られているのは、ポルトガル移民によりハワイでも定番お菓子となっているためでしょう。
さてこのローソンのハワイアンドーナツは他のドーナツと違い、公式サイトを見ると「フライドフーズ」のカテゴリーとして紹介されています。それはなぜかというと、ハワイアンドーナツは各店舗の店内で揚げているからです。ローソンもドーナツ事業が後発であることを十分理解しているようで、ハワイアンドーナツを店内調理していることを先行2社との差別化されたポイントであるとアピールしています。
参入が遅れたとはいえ、ローソンはドーナツ販売を同社が展開するカウンターコーヒーサービス「マチカフェ」強化のための起爆剤と見ているようです。ローソンは、ドーナツ販売開始と同時に、カフェラテM及びアイスカフェラテを180円から150円、カフェラテのLを210円から180円へと値下げしています。
値下げしたとはいっても、マチカフェのカフェラテはファミマのものよりも微妙に高めです。それは、3社の中でローソンが一番豆へのこだわりが強いためです。マチカフェ用の豆は、南米やアフリカのコーヒー産地の中から厳選した指定農園のものだけを使用しています。
特に、ブラジルのイパネマ農園には、コーヒーの果肉を取った後に水洗いしないで乾燥させる「パルプドナチュラル」」製法の豆をオーダーメイドしてもらっています。「パルプドナチュラル」」製法の豆には果肉の成分が残っているために、甘みがある独特な風味を生み出せるそうです。
このように、特にカウンターカフェにこだわりを見せるローソンは、2015年6月には創業40周年記念商品群の一つとして、高級豆「パナマゲイシャ」を使った1日限定20杯・1杯400円という、コンビニコーヒーとしては常識はずれの割高なコーヒーを販売しました。続いて2015年7月には、1杯300円の「ハワイコナ」を使った限定アイスコーヒーを販売しています。
コンビニコーヒーでの高級路線は疑問が残るところとはいえ、高いクオリティで提供できれば定着する可能性もあるかもしれません。ただ、フランチャイズという方式のなかで、そのクオリティを徹底させることがどれだけできるでしょうか?