最高に美味しいコーヒーを出すことにこだわる“ブルーボトルコーヒー”

アメリカ西海岸発祥の“ブルーボトルコーヒー”をご存じでしょうか。「サードウェーブ(第3の波)コーヒー」「コーヒー界のアップル」「フェラーリ並みのコーヒー」などと呼ばれ、今話題のコーヒーショップです。

グーグル・ベンチャーズ、インデックス・ベンチャーズ、インスタグラム、ツイッターの設立者や、元グーグルのエグゼクティブたちがこの会社に計4570万ドルの資金を投資しています。

名だたるベンチャーキャピタリスト(VC)や投資家を魅了する“ブルーボトルコーヒー”。その成り立ちや経営戦略、多くの人から愛される理由をご紹介します。

◆“ブルーボトルコーヒー”の成り立ち

2002年にジェームス・フリーマンという人がこの会社を設立しました。フリーマンはクラリネット奏者でしたが、有名な楽団から声がかからないと演奏をあきらめ、自らの貯金を元手にコーヒーの焙煎を始めました。サンフランシスコの東にあるオークランドのアパートで事業を始め、バークレーのファーマーズ・マーケットでコーヒーを売り出しました。

その後、サンフランシスコにある友人のガレージを借り、そこを常設のキオスクとしてコーヒーの提供を始めました。2010年にはニューヨーク進出を果たし、現在は東海岸に7店舗、西海岸に6店舗の計13店舗を有しています。スタンフォード大学そばのパロアルト駅の前やロサンゼルスでも新店舗が建設中です。2014年4月には、コーヒー体験をオンラインで提供するトンクスやハンサム・コーヒー・ロースターズを買収するなど、順調に事業を拡大しています。

◆地域に密着した店舗作り

大手のコーヒーチェーン店との違いの一つは、店舗が画一化されていないことです。その地域に合わせた店づくりを進めています。

<オークランド本社に併設するカフェ>

海側の倉庫街にあり、気取りのない簡素な雰囲気です。チャイナタウンが近く、中国系の顧客やブラジルからの観光客が訪れます。また、予約不要の誰でも参加できる試飲会があるのが特色です(日曜と火曜の週2回、14時から)。“ブルーボトルコーヒー”にとって、世界のさまざまなコーヒー豆に対する顧客の反応を直接見られる場で、そこで得られた情報は製品開発につなげられています。

<高級住宅地オークランド・ヒルズのふもとにあるブロードウェイ店>

20年以上借り手のなかったトラックのショールームを利用しています。店舗の天井が高くゆったりとした雰囲気で、丸い木のテーブルには花が活けられるなど、地元の常連客がくつろげる空間となっています。この店舗の特徴は、地域の住民たちが持つエスプレッソマシンを修理できたり、 バリスタにコーヒーの本格的な入れ方を学べたりすることです(料金150ドル)。まるでアップルストア内で行われているマックブックの講習会のようです。

<サンフランシスコ・南サウスマーケットにあるブルーボトルコーヒー店>

この地域はオフィスやマンションが多いため、エッグベネディクトやスープ、サラダなど、食べ物のメニューを充実しています。(平日/朝食11時まで、ランチ12時から14時30分まで。週末/ブランチ14時まで。)

<サンフランシスコ・ミッション地区の広大なセラミック工場内にある店舗>

オープンスペースが広く取られ、セラミックの製造過程が見られたり、売店があったりします。

<エンバカデロ沿いフェリータワービル内の店舗>

アーケードの中央と北側の2カ所にコーヒーバーを常設しています。人通りが多いため、ビルの外にコーヒーカートを出すこともあります。周りには流行のレストランや、オーガニックの野菜やチーズ、オリーブオイルを販売する店舗が並びます。

このように、アーティステックで流行の最先端をいく都会の各所に、オリジナリティあふれる店舗を展開しています。

◆お客さまの声は?

「スターバックスの濃い味と違って、コーヒー豆を焙煎し過ぎていない。だから、苦くなく、甘味のあるマイルドな味。」

「焙煎してから10日経ったコーヒーを出すコーヒーチェーン店が多いと聞いたけど、ブルーボトルは目の前で豆を挽いて出してくれる。店員も感じがいい。」

「朝はカプチーノ、昼はアイスコーヒーのニューオリンズ・スタイル・コールド・ブルゥ。もうほかでは飲めない。」

「ドリップコーヒーが好き。1カップずつ丁寧に入れてくれるのがうれしい。雰囲気が最高。」

このように、アーティスト、エンジニア、銀行員、観光客など、さまざま人たちが“ブルーボトルコーヒー”を愛するのは、徹底したカスタマーサービスとこだわりの味に秘訣があると見て取れる。

◆目指しているのは、コーヒーのレストラン

パソコンで仕事をしながらコーヒーを飲むのではなく、コーヒーを出すバリスタとコーヒーを味わいながら語り合う。ワインを飲む時はソムリエとワインについて話をするように、コーヒーがメインになる過ごし方をして欲しいとCEOのフリーマンは考えています。

フリーマンは「おいしいものに敬意を払っている。われわれはエクセレンス(卓越)を追い求めている」と述べ、コーヒー豆にもバリスタにも、店舗にもこだわりを持っています。

コーヒー豆は彼自ら買い付け、小さな生産者から仕入れたフレッシュなオーガニックの豆を軽く焙煎します。その味は柔らかくて甘みがあります。

そして、“ブルーボトルコーヒー”でコーヒーを煎じて出すバリスタは、バリスタ審査員の前で試験に合格した人のみとしています。

また、トレンディでユニークな都会の各所に店舗を構え、無料のWi-Fiサービスなどは行っていません。

このように、「最高のコーヒーを顧客に提供する」というこだわりが「サードウェーブ(第3の波)コーヒー」と呼ばれる所以です。真空パックの開発によって世界中で幅広くコーヒーが飲まれるようになったのが、コーヒーの第1の波。深煎りで苦みを楽しみ、味を重視しながらマニュアル化したのが第2の波。スターバックス、タリーズ、ピートコーヒーなどが有名です。そして第3の波に該当するのが、ブルーボトルコーヒー、シカゴのインテリジェンシアコーヒー、ノースカロライナのカウンターカルチャーコーヒーなどです。

◆これからの“ブルーボトルコーヒー”

「大都市で産地を厳選したフレッシュなコーヒーが流行っており、これから必ず大きく伸びる」とあるVCは語っています。“ブルーボトルコーヒー”はこれまで店舗がなかった地域への出店を進めていて、西ロサンゼルス郡のカルバーシティの元日産ショールームに新店舗を計画しています。

さらに、コーヒー豆、物品販売、小売り事業も始めており、店内ではエチオピア、エルサルバドル、ブラジル、スマトラのコーヒー豆が販売され、ネットでも購入できます。人気のニューオリンズ・スタイル・コールド・ブルゥはホールフーズマーケットなどで2014年初めから販売されています(315ミリリットルのカートンが約4ドル)。

“ブルーボトルコーヒー”は、大きなカップで出てくるモカ1杯が(ミルクで絵が描かれています)税込で5ドル以上と低価格ではありません。しかし、2000ドル以上の高額なエスプレッソマシンをバリスタの90分の無料トレーニング付きで販売するなど、個性的で話題性のある戦略と、最高のバリスタが最高のコーヒーを提供するというこだわりが多くの人々を魅了し、支持される理由なのです。

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