無理な「コーヒー断ち」は不要?ここまで分かったコーヒーの健康への影響

●コーヒーは、1日何杯までOK?

近年、コーヒーの健康効果について多くの研究がなされています。

ダイエットや心臓疾患、がん予防まで・・・これまで多くの効果が発表されてきました。

コーヒーはすっかりヘルシーな飲み物として定着したかのようです。

しかし、「胃に悪い」とか「飲み過ぎると気持ち悪くなる」という、健康にとってはマイナスなイメージが依然ぬぐえないのも事実。

「飲み過ぎるといけないから、僕は1日3杯って決めているんだ」というような声もよく聞きます。

確かに、いくら健康的とされている食物であっても摂りすぎはよくありまません。

「1日3杯」というのも個人の感覚であり、何mlまでOKという明確な基準があるわけではありません。

ただ、1日何杯までなら悪い影響がないのか目安は知りたいですね。

そこで、次の研究結果から考察してみましょう。

ハーバード公衆衛生大学院栄養学科ロヴ・ヴァン・ダム教授による、コーヒーの摂取と死亡率との関係の研究です。

被験者:40~50代

研究期間:18~24年

研究方法:被験者のコーヒーの消費量、食習慣、ライフスタイルを調査し、死亡した人を記録。

結果:コーヒーががんや心血管疾患などが原因の死亡のリスクには無関係。1日6杯飲んだ被験者の死亡リスクは増加せず。定期的にコーヒーを飲む人は、そうでない人に比べて心血管疾患による死亡リスクがやや低い。

人の半生を記録するのですから、何とも息の長い研究ですね。

しかし生活習慣病の死亡リスクに関係ないばかりか1日6杯飲んだことさえ死亡との因果関係がなかったとは、驚きです。

では、本当に一日6杯飲んでも大丈夫なのでしょうか。

必ずしもコーヒーが病気の原因とは限らないことは研究結果からはわかります。

ただ、このような研究は日々進化しており、研究結果には賛否両論がつきもの、ということが前提です。

けれども、コーヒーが悪者ではないという事実を証明している貴重な研究結果ではあります。

だからといってすべての人にこの結果があてはまるということはなく、飲んでいてストレスを感じたり、手などが震えてきたり、不眠になってしまったのだとしたら、やはり控えた方がいいでしょう。

コーヒーのせいでそうなったとは限りませんが、研究結果うんぬんよりも体の正直な反応に従うべきです。

ただ、明らかに健康被害がある喫煙とは違いますから、コーヒーが好きなのに「コーヒー断ち」しなければならないほどのことではなさそうです。

体と相談しながら1日に飲む量を決めるのが一番ですね。

●どんな人がコーヒーを控えるべきなの?

がんや心臓疾患への死亡リスクにはならない研究結果があることはわかりました。

では、コーヒーを控えるべき人は、いるのでしょうか。

カフェインには神経を興奮させる作用があるので、お子さんや妊娠中の方は控えた方がいいでしょう。

カフェインは胎盤を通過しますから、胎児への影響が心配です。

それでは、高血圧や糖尿病の方はどうなのでしょう。

「ますます血圧が上がりそう」、「ダイエットに効果があるなら、糖尿病にはよさそうじゃない?」などと何となく考えてしまいます。

カフェインは実際血圧や血糖にどのような影響を与えるのでしょう。

現段階で分かっている影響は、以下の通りです。

<血圧への影響>

・カフェインを普段摂取していない人が摂取すると血圧上昇。しかし摂取後1週間以内に血圧の上昇があまり見られなくなる。
・継続的にカフェインを摂取すると血圧の上昇は残る場合がある。

<糖尿病への影響>

・中高年に多い2型糖尿病のリスクは低いとされている。
・症状が比較的激しい時期は、コーヒーの後にブドウ糖を多く含む食品を摂取すると、インスリンの機能が低下し血糖がかなり上昇する。
・カフェインあり、なしどちらのコーヒーでも同じ結果になる。

このように、一部よい影響も報告されていながらも、逆に良くない影響もみられ、どちらともいえない状況であり、高血症や糖尿病の方に「コーヒーは飲んでも大丈夫」とまだはっきりと言えない段階です。

また、「このように飲めば悪い影響は避けられる」という基準もまだ不明です。

カフェインが血糖に悪くない影響をもたらしたという報告もあるようですが、どんな状況下での結果かはわかりません。

もっと長期で観察した研究が進めば、もう少しはっきりしてくるかもしれません。

もしも高血圧症や糖尿病を患っている方で、どうしてもコーヒーを飲みたいという方は、主治医の先生と相談しながら飲むのが一番安心なようですね。

●カフェイン以外で気になる成分は?

コーヒー=カフェインのイメージがありますが、含まれているカフェインの量の割に血圧や血糖値への影響が弱いという研究結果があります。

カフェインの作用を抑える効果の成分が、どうやら含まれているようなのですが、まだ研究結果は出ていないようです。

例えばクロロゲン酸のように、コーヒーにはカフェイン以外にも多くの成分が多く含まれています。

「カフェストール」という、油性の成分もその一つです。

なんと、LDL(悪玉)コレステロール値を上げてしまう成分なのだそうです。

これを聞く限りでは、できるだけ摂取を避けたい物質といえます。

しかし、カフェインにだって良い面、悪い面どちらもあります。

このカフェストールも、研究が進めば実は良い面もあるのかもしれませんが、今のところ、なるべく取り除いて飲んだ方が安心でしょう。

カフェストールが最も少ないのはペーパーフィルターで淹れたコーヒーとのこと。

エスプレッソも比較的少ないのだとか。

そして、ドリップ式ではない未濾過のフレンチプレスコーヒーなどはカフェストールが残りやすいそうです。

トルココーヒーも同様ですね。

コレステロール値の高さが気になる方はペーパーフィルターやエスプレッソを選んだ方が無難かと思います。

●今後の研究結果にも注目

今回挙げた研究ではブラックコーヒーを対象としています。

いくらコーヒーの健康効果を期待しても、ミルクや砂糖たっぷりのコーヒーを飲んでいてはかえって生活習慣病の原因をつくってしまいます。

コーヒーが悪者にされてきた原因に、研究条件を統一する難しさがありました。

研究ではコーヒー1杯240mlとしており、100mgのカフェインを含有しているとしています。

これはスターバックスのショートサイズと同じ量。

しかし、普段マグカップで飲む人は1杯を大目にとらえている可能性もありますし、カフェインも豆や抽出状況で多少は量に違いがあるでしょう。

また、コーヒーを飲む習慣がある人には喫煙者が多かったり、お酒などの嗜好品を好む傾向があります。

健康な人もいれば運動不足や栄養不足の人もいるでしょう。

人を対象とした実験は、このように条件を統一することが極めて難しいもの。

本当は喫煙が原因で生活習慣病が発症したにもかかわらず、コーヒーのせいにされてしまったこともあったとか。

人を対象とした実験は、このようにライフスタイルの条件を統一することが極めて難しく、純粋にコーヒーのみの影響をデータとして取り出すことは実に困難です。

だからこそ、被験者のライフスタイルを考慮しながら20年前後も調査し続けたダム教授の研究の功績は大きいですね。

コーヒーはカフェイン以外にも多くの成分を含む飲み物であると先ほど触れましたが、実はどの成分がどのように作用しているか、わからない部分もまだまだたくさんあると思います。

今後、思わぬ効果を発揮する成分が注目されるかもしれません。

これから、コーヒーに関してどんな研究結果が出るのでしょうか。

いずれにしてもコーヒーが私たちのライフスタイルに欠かせないもののひとつであることには変わりありません。

体調や気分に合わせて、上手にお付き合いしてゆきたいですね。

関連記事

おすすめ記事

ページ上部へ戻る