コーヒーに含まれるカリウムなどまったく問題ありません
これを書いている2016年12月9日現在、DeNAが運営する健康情報キュレーションサイト「WELQ」は、内容に問題がある記事が多いとして全記事を非公開にしています。
まあ、キュレーションサイトの記事というのは、ほとんどが日本語になってないような文章ばかりなので、非公開でまったく問題ありません。
その非公開になる前にたまたま発見した記事に「コーヒーのカリウムは体に悪影響であると言われている」と主張するものがありました。
「そんなの聞いたことない!」と思ったので、さっそくググってみると、カフェインを含むコーヒーは悪!みたいに言っているところですらそんな主張はしていませんでした。
さすがキュレーションサイトの記事。
さて、googleで「コーヒー カリウム」でググってみます。すると「49mg コーヒー100gあたり」と出ました。
ちなみにwikipediaだと100gあたり3,535mgになっています。wikipediaのほうは豆自体に含まれる量なので、googleの情報は抽出液に含まれる量だと考えていいでしょう。
ちなみに厚生労働省が定めているカリウムの摂取目安は、男性が1日に2,500mg、女性が1日に2,000mg。
コーヒーカップ1杯が150mLとした場合、カリウム含有量は四捨五入して74mgほど、現実を考えると他の食物からもカリウムは摂取しているわけですが、コーヒーだけから摂取すると仮定すると、女性でも27杯は飲まねばなりません。
これではいくらコーヒーに批判的な人でも騒がないわけです。
カリウムは人間にとって非常に重要な物質。人体ではカリウムは細胞の中に多く存在しています。
細胞に神経からの信号が来ると、細胞膜にある「ナトリウム-カリウムポンプ」が働いて、細胞の中にあるカリウムが細胞外に出て、逆に細胞外にあるナトリウムが細胞内に入ります。
このとき「活動電位」という電気信号が発生し、それによって筋肉は収縮します。
筋肉といっても、手足を曲げ伸ばしする骨格筋だけではなく、内臓を動かす筋肉も含まれます。
中でも重要なのが、心臓を動かす心筋。心臓が正しく働いて生きていられるのは、カリウムのおかげだと言っても過言ではありません。
また、人間は余分なミネラルは尿から排出するという機能を持っていますから、多少多めに摂取しても余剰分は捨てられてしまいます。
カリウムの摂取が問題になるのは、その余分なものを捨てる機能が低下してしまう腎臓病の人です。
腎臓では血液から水、老廃物、余分なミネラルなどを濾過し、尿を作って捨てています。
腎臓病になると、その濾過を行っている糸球体という器官の濾過機能が衰えていきます。高度に腎臓病が進んだ状態では、もう余分なミネラルはほとんど捨てられなくなってしまいます。
それゆえに、腎臓病のステージが進むと、ナトリウムやカリウムなどのミネラルの他、タンパク質の摂取も制限しなければなりません。
腎臓病の人がカリウムを摂りすぎると「高カリウム血症」となってしまいます。これは読んで字のごとく血液中にカリウムが多過ぎる状態。
こうなってしまうと骨格筋をうまく収縮できず、また心臓も拍動のリズムを一定にできずに不整脈になり、最悪の場合、命に関わる場合も。
それを防ぐために、重症の腎臓病の人はかなり正確にミネラルの含有量を計算した食事をする必要があります。そこにわずかながらもカリウムが含まれるコーヒーを摂取するのはあまりよろしくありません。
しかし、カリウム制限をする必要がない人はコーヒーに含まれるカリウムの量など気にする必要は一切ありません。
コーヒー程度の含有量でダメなら、100g中358mgもカリウムを含むバナナはもっとダメということになるではないですか。