空腹時にコーヒーやお茶がよくないのは何故?

カフェインに覚醒効果があるのはよく知られています。その仕組を説明するためには、まず人間がどうして眠くなるか知らなくてはなりません。

人間の脳は、疲れてくるとアデノシンという物質を分泌。分泌されたアデノシンは、視床下部にある睡眠中枢のアデノシン受容体と結合。

これによって「脳が疲れているから休む必要がありますよ」という情報が伝わり、睡眠が促されます。

受容体というのは特定の物質と結びつく受け皿、もしくは鍵穴のようなもの。鍵穴に合った鍵が来て初めて、ロックを外すことができます。

人体の様々な作用の多くが、特定の受容体が特定の物質を受け取ることではじめて発動することができます。

アデノシン受容体に結びつくことができるのは、本来はアデノシンだけ。ところが、カフェインはアデノシンと似た構造をしているためにアデノシン受容体と結びつくことができます。

カフェインによって塞がれてしまったアデノシン受容体には、もうアデノシンは結びつくことができません。そのため、睡眠中枢に脳の疲労を伝える情報が阻害され、眠くなりにくいのです。

この睡眠中枢の抑制によって、もう一つの現象が発生します。それがヒスタミンの分泌。

ヒスタミンはアレルギー疾患の原因物質として知られており、日本ではそのようなネガティブな働きだけがクローズアップされる傾向にあるため、悪者扱いされていますが、体の様々な機能に関わる重要なホルモンです。

例えばヒスタミンには、血管を拡張する作用があります。血管が拡張すると血管壁にかかる圧力が減って、血圧が下がります。

ヒスタミンの働きの一つに、胃液の分泌促進があります。ヒスタミンは胃壁にあるH2受容体に結びつき、いくつかの段階を経たあとにプロトンポンプというシステムを働かせて胃液を分泌させます。

つまり、非常に短絡的に言えばコーヒーやお茶などを飲むと、含まれているカフェインによって胃液の分泌が増えるということになります。

胃液はpH1〜2の強酸性。胃の中は健康であれば強力な酸に耐えることができますが、胃粘膜が弱っていたりすると胃炎の原因になることもあります。

本来食道と胃の間には噴門、胃と十二指腸の間には幽門があって、胃液が逆流したり、大量に流れ出ることはありません。

しかし、これらが何らかの原因でゆるんで胃液が流れ出ると、強酸性に対する耐久性がない食道や十二指腸の細胞が傷つくため、逆流性食道炎や十二指腸潰瘍などを起こす可能性があります。

ゆえに使うあてのない胃液を分泌してしまう空腹時のコーヒーやお茶の飲用は胃を中心とした消化器系の負担となってしまいます。

これを防ぐためには、単純にお腹に食べ物が入っているときに飲むようにすればいいだけ。すなわち、食後に飲んだり、もしくはお菓子をお供にするなど。

他に、牛乳を加えれば乳脂肪が胃壁を保護してくれるなどという主張も見ますが、胃には流動性があるし、胃で消化できない脂肪分は胆汁や膵液で消化させるために腸に運ばれるので、乳脂肪が胃壁にとどまって胃液から守ってくれるというのはかなり眉唾もの。

ただ、単純に牛乳を加えればその分1杯のコーヒーやお茶の分量を減らすことができる=カフェイン摂取量を減らすことができます。とはいっても、これは入れないよりちょっとマシといったぐらいでしょう。

つまり、はやり胃液の分泌による害を防ぐためには、何か食べておいたほうがいいということになります。

ただ困ってしまうのは、甘いコーヒーやお茶が好きという場合。

砂糖で甘くした上に何かを食べていると、血糖値が上がりやすくなるし太りやすい。特にクリームがたっぷり乗ったケーキなんかを合わせるといろいろ心配になります。

胃液による害を抑制できたとしても、高血糖や肥満になってしまったら、体への害がすり替わっただけ。

でも高血糖や肥満は、体に入った糖を消費すれば予防できるので、入れた分運動すればそれで問題ありません。

運動がいやだというなら甘いものを控えるか、そのまま甘んじて肥満するしかないですね。都合のいいいいとこ取りの方法などこの世に存在しませんので・・・。

カフェインには交感神経を働かせる効果があることも知られています。交感神経が働くと、体は活動状態になるので、運動するには適しています。実際、練習や試合の前にカフェインを摂取するアスリートがいるぐらいです。

カフェインによって眠気がとれ、活動性も高まり、おまけに糖も摂取できると考えるなら、運動を好む人にとっては甘いコーヒーや紅茶も悪いものではないですね。

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