安眠にはコーヒーが効果的!?

「安眠にはコーヒーが効果的」なんて言うと「アホか!」と思う人もいると思います。

カフェインには覚醒作用があることは確か。ただ、その機序は直接的にカフェインが脳を興奮させるということではありません。

眠気とカフェインの関係

脳が興奮状態(一般的な意味での興奮ではなく、活動状態という意味)になっているとき、アデノシンという物質が分泌されます。

アデノシンは視床下部にある所謂「睡眠中枢」にある受容体に結びつくと、眠気が促されます。要するに、脳が働きすぎると、休息をとらせるために眠気を起こすシステムがあるのです。

脳の血管には脳に必要ないものは通さない「血液脳関門」という機能がありますが、カフェインはこの門を通過することができます。

カフェインはアデノシンと非常に似た形の物質で、本来アデノシンが結びつくべき睡眠中枢の受容体と結びつくことができます。

カフェインが結びついてしまったアデノシン受容体は、アデノシンからの情報を得ることができないため、睡眠中枢が活動せず、結果的に眠気が抑えられるという仕組みです。

つまり、覚醒作用というよりは、睡眠阻害作用といったほうがより正確でしょう。

ただ、脳のほうもそれに甘んじているわけではなく、そのような睡眠阻害が続けられると、今度はアデノシン受容体のほうを増やしてきます。

すると、ある程度受容体がカフェインで阻害されても、増えた受容体がアデノシンを受け取ることで眠気を生じることができます。

ゆえに、平素よりカフェインを摂取している人ほど「眠気覚ましのコーヒー」は効果がなくなっていくのです。

と、ここまでカフェインと眠気についてのことを説明しましたが、実はここまでは蛇足。というのも、今回の「コーヒーで安眠」というのは、コーヒーは飲まないからカフェインと受容体云々の話は関係ないからです。

コーヒーのアロマが眠りを誘う

そう、コーヒーで安眠といっても、何か特別な飲み方をすれば安眠できるということではなく、コーヒーの香りが寝付きを良くするというもの。

杏林大学の古賀良彦名誉教授は、10年間コーヒーの香りと脳の関わりについて研究してきました。研究によれば、コーヒーの種類によっては脳にアルファ波が出現しやすくなり、それによって脳のリラックスが得られ、入眠しやすくなるそうです。

アルファ波が特に出やすくなるのは、ブルーマウンテンとグァテマラ。これらを淹れたあと、少し落ち着いたぐらいの香りが一番効果的とのこと。

ただ、淹れたコーヒーを枕元に置いておくのは嫌ですよね。コーヒー自体ももったいないし。それに、飲んでしまってはカフェイン耐性がない人だとかえって眠れなくなってしまいます。

ではどうすればいいかというと、まず一つ目の方法としてはデカフェ豆で淹れたコーヒーを、香りをゆっくり楽しみながら飲むということ。

コーヒーの香りとカフェインは関連性はなく、デカフェの豆にもコーヒー酸やキナ酸などの香りを作り出す成分は残されています。

しかし、トイレが近い人の場合、入眠がスムーズにいっても夜間に尿意で目が覚めてしまう可能性があります。その場合は、二つ目の方法として、豆自体を容器に入れて枕元に置いておくというやり方もあります。

香りを出すということならば、豆のままより挽いた粉を置くのが効果的かもしれません。

豆のままにしろ粉にするにしろ、一晩で香りはだいぶ飛んでしまうでしょうし、粉を外気にさらしておくと確実に酸化するので、ちょっともったいないですが、少量なら許されるでしょう。

翌朝、新しい豆と混ぜてコーヒーを淹れれば無駄にせずに済みます。

コーヒーを淹れたあとのカスはどうでしょうか?香りがお湯の中に抽出されるとはいえ、100%出てしまうわけではないと思うので、もしかしたら残った香りでも効果があるかもしれません。

枕元に置いておくと安眠できるものとしては、他に玉ねぎが有名ですね。

でも、玉ねぎはわりと強烈な臭いを放つので嫌だという人もいるのではないでしょうか?そんな時、コーヒーを利用すれば、心地よい香りの中で眠れます。

だだし一点だけ注意点があります。

古賀名誉教授によると、コナ、マンデリン、サントスなどの香りは逆に脳が活性化するとのことなので安眠のためにはおすすめできません。

それでも、テスト前の一夜漬けなど、寝ないで脳を働かせないといけないというときには、こちらのほうが効果的でしょう。

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