ココナッツコーヒーダイエットは多分お金をかけなくてもできる
2015年あたりからアメリカで話題になり、2016年になって日本でも広まりつつある「コーヒーダイエット」があります。
それは、コーヒーにココナッツオイルとバターを加えた「バレットプルーフコーヒー」を朝食代わりに飲むというもの。
これは、シリコンバレーのIT企業家、デイブ・アスプリー氏が考案したもので、彼自身がこの方法でダイエットに成功したそう。
ただ、記事によって26kg痩せたというものもあれば、50kg痩せたというものもあり、はっきりしません。
この「バレットプルーフコーヒー」にはいろいろしちめんどくさいルールがあります。
まずカビ毒を防がれた「スペシャリティコーヒー」を使うこと。牧草だけを食べた牛からとれた「グラスフェッドバター」の無塩のものを使うこと。ココナッツオイルから中鎖脂肪酸のみを抽出した「MCTオイル」を使うということ。
そして、コーヒーはフレンチプレスなどの金属フィルターを使って淹れること。
淹れたコーヒー、バター、MCTオイルをミキサーで撹拌させて、乳化させる。つまり、コーヒーと油が分離しないところまでしっかり混ぜ合わせるということ。
道具立てから作り方までまあ細かい。
アスプリー氏は、この方法ではないと効果がないと言っているようです。
しかし、アスプリー氏はこのコーヒーを事業化しようとしています。お高い材料ばかりを使うのは、付加価値をつけてより稼いでやろうという意図であるとしか思えません。
まずカビ毒について。これもよくある手なんですが、「カビ毒には発がん性があって危険」と騒ぐ人は、それが対象物にどれだけ含まれており、摂取量がどれだけだと危険域なのかには触れずに騒ぐわけです。
少なくとも日本に流通しているコーヒー豆で、実際に発がんリスクを高めるほど大量にカビ毒を含んでいるものなどありえません。だから普通のコーヒーでOK。
次にバター。アスプリー氏は「グラスフェッドバター」である必要性を、穀物を食べさせて育てた牛のバターより不飽和脂肪酸が多く含まれるからと説明しています。
しかし、バターに含まれる不飽和脂肪酸はせいぜいが20%程度です。その値が多少上がったところで、飽和脂肪酸が多いことに変わりはありません。
不飽和脂肪酸を摂りたいならベニバナ油とかオリーブオイルを飲めばよろしい。というわけで、バターは別に加える必要性はないでしょう。
次、中鎖脂肪酸も飽和脂肪酸なんですが、なぜMCTオイルを使うのにバターのほうで不飽和脂肪酸量にこだわるのかわかりません。
わざわざ入手しにくいMCTオイルを使わなくても、ココナッツオイルには中鎖脂肪酸が60%含まれているのでこれで十分。
だから、お高い材料を使わずに、普通のコーヒーにココナッツオイル混ぜるだけで同じ効果は得られるはず。
あと、何か誤解があるようですが、中鎖脂肪酸は確かにエネルギーとして「消費されやすい」脂肪酸です。
でも消費しなかったら最終的には脂肪として蓄積されます。使いもしないで摂取したものが消えてなくなるなどということはありません。