カフェイン断ちは少しずつ行えば離脱症状が起きない
外国のことはいざしらず、日本人は専門的な用語を本当の意味を知らずに字面だけで適当に使う人が多いです。
例えば、テレビ番組でのハプニングを「放送事故(本来は放送そのものに支障をきたす事故)」と呼んだり、電波なことを書いてある手紙を「怪文書(本来は発行者が不明の文書のことで内容は関係ない)」と呼んだり。
医学用語でもそれは多いです。
例えば、重篤なアレルギー反応で、様々な症状をあらわす「アナフィラキシー」を、その最も重いショック症状である「アナフィラキシーショック」と混同して、アナフィラキシー=死と短絡的に言ったりします。
カフェイン中毒などはその最たるものではないでしょうか?
医学的に「カフェイン中毒」とは、カフェインの多量摂取による中毒症状です。中毒とは、ある物質の過剰摂取により、生体機能に障害が起こることを言います。
カフェイン中毒は1日に250mg以上のカフェインを摂取したときに起こる可能性がある「中毒症状」です。その症状は、神経過敏、焦燥感、嘔吐、頻脈など。
一方、カフェイン摂取をやめられないという意味で一般的に言われている「カフェイン中毒」は、医学的には「嗜癖」、わかりやすく言えば「依存性」です。
これは、急性アルコール中毒とアルコール依存症がまったく違うものであるのと同じこと。
ところが、この違いがわからない連中は「1日に250mg以上のカフェインを摂取し続けるとカフェイン中毒になる」などと、よりとっ散らかったことを言い出すのでやっかいです。
カフェイン断ちによっていわゆる「離脱症状」が起こるのは、このカフェイン依存症のほうです。これは中毒とは明確に区別されねばなりません。
カフェインは血液脳関門を通過でき、脳を刺激して興奮状態に向かわせます。
それが常態になっているカフェイン依存症の人は、カフェイン摂取が止まると突然興奮状態が緩和されるので、強い眠気に襲われ、集中力を維持できなくなります。
また、カフェインは血管収縮作用があるために、カフェインの働きがなくなると血管が拡張し、その拡張の振り幅が大きくなるとこめかみの神経を刺激して偏頭痛が起こることもあります。
カフェイン依存症は「医学的な意味でのカフェイン中毒」とは違い、治療の必要はありません。
また、カフェイン自体も妊婦や何かの病気の治療中でなければ、医学的な意味に置いては中毒を起こすほど多量に摂取しない限り断たなければならないものでもありません。
ただ、他に何らかの理由でカフェイン断ちをしたいのであれば、離脱症状を起こさないように突然まったく摂取しなくなるのはやめ、漸減して慣らしていくのがいいでしょう。
例えば1日平均5杯コーヒーを飲む習慣があるなら、最初はそのうち1杯だけをデカフェにし、1ヶ月を目安に1杯ずつデカフェ飲料を増やしていきます。
こうして数ヶ月かけてカフェイン摂取量を減らしていけば、離脱症状に苦しむことなく、カフェイン断ちを実現できるはずです。