コーヒーで代謝が高まっても運動せずに痩せるはずはありません

数年前の一時期、コーヒーに含まれるポリフェノール「クロロゲン酸」が、脂肪燃焼効果をもつなんてことが言われて騒がれたことがあります。

「ヘルシア」シリーズを出している花王のwebサイトによれば、クロロゲン酸はエネルギー代謝を行っているミトコンドリアに働きかけて、脂肪の燃焼効率を高めるのだそうで、その働きを利用した「ヘルシアコーヒー」という商品も出ています。

コーヒーに加えるトッピングで、さらにエネルギー代謝が高まると言っている人もいます。

例えばシナモン。これは漢方生薬名は「桂皮」で、性質は「温」体を温める作用があることから、コーヒーにシナモンを加えるとエネルギー代謝が高まるのだとか。

しょうがも同じく「温」で、こちらは体を温めて発汗をうながす作用もあるそうです。

とまあ、要するにコーヒー単体でも、或いはシナモンやしょうがを加えたものでも、エネルギー代謝を高めるんだそうで、それについて否定できるだけの研究成果などは私は持っていませんから、その点については否定しません。

ただね、飲むとエネルギー代謝が高まるのは本当だとしても、飲んだだけで脂肪が燃焼されるなんてことはないんですよ。

脂肪はそのままの形では燃焼されず、エネルギー源として利用されるためにはまず脂肪酸に分解されねばなりません。脂肪が脂肪酸に分解されるのは、血液中の糖が減少した時です。

血液中の糖が減少するのは、糖がエネルギーとして使われる運動時。つまり、「エネルギー代謝を高める成分」を摂取したとしても、だらだら寝転がっていたら、そもそもその高められたエネルギー代謝は働きません。

だいたい、「○○を摂取すると代謝が高まる」というのは、情報として不完全なのです。正しくは「○○を摂取すると、運動時のエネルギー代謝効率を高め、それによって脂肪がエネルギーとして利用されやすくなる」です。

だから、例えばヘルシアシリーズのごときものを飲んで痩せるのは、それを飲むとともに運動をする人です。でも、その点があまり強調されないのは、そこを明確にしてしまうと、怠け者のデブが買わなくなるからでしょう。

商売のためなら「知らせない自由」を行使するというのは、企業としてどうなんでしょうか?

まあ、企業というのは利益を追究するものであって、国民の健康に寄与するのは医療の役割ですから、むしろ責めるべきは金儲け主義で情報を制限する企業を糾弾しない医療の側かもしれませんけどね。

いずれにしても「代謝が高まる=運動しなくても痩せる」なんてバカな認識は、早めに改められるべきだと思います。

関連記事

ページ上部へ戻る