コーヒーや緑茶は病気の原因の死亡リスクを下げるらしい

国立がん研究センターの予防研究グループは、コーヒーと様々な病気が原因となる死亡リスクとの関連性を調査し、コーヒー摂取によって様々な病気による死亡リスクが減少するという研究成果を発表しています。これは、国立がん研究センターが行っている多目的コホート研究によるものです。

コホート研究とは、特定の集団(コホート)を追跡調査するという研究手法で、一つの目的に絞らず、様々な調査結果を記録・分析していこうというのが多目的コホート研究です。

国立がん研究センターによると、これまでも欧米の研究者によるコーヒーと死亡リスクの関連性の研究はあったものの、アジア人を対象とした研究はなかったために、日本人がコーヒーを摂取した場合はどのような結果が出るかを確かめるためにこの研究が行われたそうです。

この研究は、1990年と1993年を起点に、開始時点で癌・循環器疾患にかかっていない日本各地の40歳~69歳の男女約9万人を、2011年まで追跡調査したというかなり大規模なものです。

研究チームは9万人の対象者を、コーヒーをまったく飲まない人を基準とし、コーヒーの飲用量が1日1杯未満、1日1~2杯、1日3~4杯、1日5杯以上という5つのグループに分けて調査しました。

その結果、コーヒーを飲む全てのグループでまったく飲まない人より死亡リスクが低くなることがわかっています。

ただし、各グループを比較すると一番死亡リスクが低かったのは、まったく飲まない人の死亡リスクを1とした時に0.76となった1日3~4杯のグループで、5杯以上飲むグループは、1日1~2杯飲むグループと同じ0.85に上がっています。

また、癌・心疾患・脳血管疾患・呼吸器疾患それぞれの病気が原因となる死亡リスクの比較では、脳血管疾患と呼吸器疾患では全てのグループで死亡リスクが減っているものの、やはり最も死亡リスクが減っていたのは1日3~4杯のグループで、5杯以上のグループは死亡リスクが多少高くなっています。

また、驚くべきことに心疾患においては、1日3~4杯のグループがまったく飲まないグループ1に対して0.64と非常に優秀な結果を出したのに対し、5杯以上のグループはそこから突然跳ね上がり、1.03とまったく飲まないグループよりもむしろ死亡リスクが高くなるという結果が出ました。

また、癌に対してはどのグループも死亡リスクを下げるという結果は出ていません。ただし、この結果について国立がん研究センターは、これは癌全体に対する結果であり、癌の発症部位によってはある程度コーヒーが死亡リスクを下げる可能性もあるとしています。

また、病気による死亡リスクを下げるという目的のためには、1日3~4杯程度のコーヒー摂取が一番効果的であることもわかりました。

国立がん研究センターでは、同様の調査を緑茶でも行っています。こちらの調査では、1日3~4杯飲むグループと5杯以上飲むグループが明らかに死亡リスクが低くなっており、コーヒーと違って飲み過ぎると効果が薄くなるということはないようです。

よく、聞きかじりでプラセボ(プラシーボ)効果、つまり思い込みや自己暗示による効果を持ち出す人がいますが、そうした人が勘違いしているほどプラセボの効果は高いものではなく、長期の調査となればなおさらプラセボの影響は関係なくなります。

だからこそ、製薬会社の二重盲検法では、プラセボと実薬の差が明確に現れ、実薬の効果が確認できるわけです。

この調査も同様で、プラセボが健康状態を明確に変化させることはほとんどありませんから、コーヒーや緑茶の成分が実際に死亡リスクを下げていることは明らかです。

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