カフェインは体にいいけど悪いこともある・・・
世の中には「自然食教」「健康食教」のようなものを信仰している人々がいて、時に牛乳は体に悪いとか、白砂糖は漂白しているから危険だといった根拠不明の魔女狩りのような騒ぎを起こします。そのような人々がほぼ共通して敵視しているのがカフェインです。
彼らのカフェインへの敵視はもちろん信仰上のものなので大して根拠はありません。彼らが根拠としてるのは大部分が思い込みです。以前、そのような信仰を持っている人で、カフェインを摂らないためにジャスミン茶を飲んでいるという人がいて爆笑したことがあります。要するにその程度のものなのです。ジャスミン茶は緑茶にジャスミンの花で香りをつけたお茶なので、もちろんカフェインを含みます。
ひどい人になると、「私はカフェインを摂りたくないのでコーヒーは飲みません」と言いながら日本茶を飲んでいました。日本茶にもカフェインが含まれることを教えてあげると絶句していましたが・・・。
さて、一方でコーヒーが健康にいかに寄与するかという研究をしている人たちもいます。
例えばハーバード大学の研究チームは、コーヒーを適量飲むと糖尿病や自殺のリスクを減らすことができると発表していますし、東京大学と国立がん研究センターの研究チームは、コーヒーで心臓病や脳卒中のリスクを低減できると発表しています。
コーヒーが健康に寄与するのは、コーヒーに含まれるポリフェノール「クロロゲン酸」によるものもありますが、ほとんどがカフェインの効果だと言われています。この手の研究でコーヒーが選ばれるのは、「抽出液」中に含まれるカフェイン量がお茶の類よりも多いから。
ちなみにしたり顔で「実はお茶のほうがカフェイン含有率が高い」という人もいます。しかし、実はそれは豆と茶葉を比較した場合でのことで、同じ量の豆・茶葉を同じ量のお湯で抽出した場合は、コーヒーのほうがカフェイン量は多くなります。
もちろん、カフェイン危険信者以外にも、きちんとした医学的根拠をもってカフェインの過剰摂取によるリスクを訴える人もいます。ただ、現在では多くの研究によって、あくまで「適量」の摂取であればコーヒーはむしろ体によいという意見のほうが多いようです。
ところが最近、同じくカフェインを主要成分とするレッドブルなどのエナジードリンクが危険であるという報道がなされるようになりました。アメリカではエナジードリンクの飲み過ぎによる死亡事故も起きているとのことです。しかし、よくみるとそうした事故の原因は、ほとんどが異状な量を一気に摂取していることに起因しています。
適量の摂取なら体に良いけれど、摂り過ぎると健康被害の危険性がある。これに何ら矛盾はありません。要するに、適量を超えて摂取しないという常識があれば、このような報道に一喜一憂する必要はありません。