バターたっぷり高カロリーコーヒーはほんとうに体にいい?

最近はやりのセラミックコーティングフライパン。その謳い文句は「油を使わずに料理してもくっつかない」です。

脂肪を減らす=ヘルシーという考え方は、大量の脂肪を摂取するアメリカで生まれたもので、アメリカ人ほど大量に脂肪を摂取しない日本人にはそれほど当てはまるものでもないのですが、特にその考え方の是非を考慮せず、鵜呑みにするのはいつものこと。

さて、「脂肪恐怖症」とでも言えるレベルで脂肪への警戒感が強いアメリカに、それとは真逆のコーヒーショップが誕生しました。それが「ブレットプルーフ・カフェ」。

これは、カナダ人のデーブ・アスプレイ氏が考案した脂肪がたっぷり含まれる「ブレットプルーフコーヒー」を提供するカフェ。

「ブレットプルーフコーヒー」が生まれるきっかけは、チベットのバター茶にありました。これは、煮だしたお茶にヤギや羊、ヤクなどのミルクとバターを混ぜて、塩で味付けをする、チベットやモンゴルの遊牧民の伝統飲料。

アスプレイ氏は、ヒマラヤ登山の折に高山病にかかり、このバター茶のおかげで体調が回復するという体験によって、バターを加えた元気が出るコーヒーを作ろうと思い立ちました。

そして、失敗を重ねた結果できあがったのが、グアテマラ産コーヒーに、グラスフェッドバターという牧草だけを食べた牛の乳から作ったバターとココナッツオイルから作ったオイルをクリーム状になるまで混ぜたものを加えた「ブレットプルーフコーヒー」でした。

アスプレイ氏によると、コーヒーのカフェインは脳を活性化させ、バターとココナッツオイルに含まれる脂肪は、ホルモンや全身の細胞膜の原料となるので、「ブレットプルーフコーヒー」を飲めば心身のパフォーマンスが上がるとのこと。

これは机上の理論ではなく、アスプレイ氏が自ら十数年「ブレットプルーフコーヒー」を飲み続けたことで痩せるとともに健康になったことが根拠となっています。

といっても、アスプレイ氏が脂肪を摂取するのはほぼ「ブレットプルーフコーヒー」からのみ。食事は逆に野菜中心で、あまり脂肪が含まれないものにした上での結果のようなので、「ブレットプルーフコーヒー」を飲んでも、食生活を改善しなければアスプレイ氏のように健康になることはないでしょう。

また、一杯で450kcalもあるバターたっぷりのコーヒーを飲むことに関しても、医師は疑問を呈しています。

確かにコレステロールはアスプレイ氏が言うように性ホルモンや細胞膜の原料になる人体に必要な物質です。しかし、その反面動脈硬化などを引き起こすリスクもあり、医師としては悪い面を無視していい面だけを取り上げるわけにもいかないというわけですね。

アスプレイ氏が「ブレットプルーフコーヒー」によって健康になったというのは嘘ではないと思います。ただ、同時に自覚的に節制する生活をしなければ、多量の脂肪摂取のリスクのほうが強く出るはず。

アスプレイ氏は「ブレットプルーフ・カフェ」をスターバックスレベルの世界的企業にしたいと鼻息を荒くしているようですが、生活改善を含めた啓蒙活動まで行わなければ、健康被害が増える気がしますね。

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