カフェイン摂取でパフォーマンスを高める意味があるのは特別なアスリートだけ
2016年のリオデジャネイロオリンピックを前に発覚したロシアの国ぐるみのドーピングは衝撃的でした。ロシアは結局、本来出場するはずだった389人のうち、271人しか出場させることができませんでした。
また、オリンピック期間中にも、何人もの選手がドーピングで失格になっており、ドーピング根絶の難しさを際立たせました。
しかし、その半面多くの選手が違反にならない範囲で、極力パフォーマンスを高めることにつとめています。中でもアスリートの中で用いられることが多いのがカフェイン。
カフェインは脳に疲労感を与える物質=アデノシンをブロックするため、疲労を感じにくくなるとか、あるいは筋繊維の痛みを感じにくくさせるなど、様々な理由が唱えられているものの、実際のところ、カフェインがなにゆえ運動能力を向上させるか、明確な理屈はまだわかっていません。
ただ、カフェインの摂取が特に持久力を要求されるマラソンやトライアスロン。長時間ダッシュを繰り返すサッカーなどのようなスポーツにおいて効果を表すのは確かであるという報告も多いようです。
こういう理屈がまだ解明されていないものをなんでも「プラシーボ効果」のせいにしたがる人がいますが、カフェインがプラセボであれば、アスリート自身が明確に自覚できるようなパフォーマンスの向上はありえないので、なにかカフェインが身体能力を高める機序というのは存在するのでしょう。
また、いまだにカフェインには「脱水」効果があるようなことを言う人がいますが、カフェインにあるのは弱い利尿効果だけ。
それも、腎臓の血流を増やすという程度のものであり、大量に汗をかく運動中では腎臓の血流が増えたところで水分はおおよそ再吸収されます。
むしろ汗で失った水分を補給するのは常識ですから、その水分補給をうまくできなかったならともかく、カフェイン摂取が原因で脱水症状を起こすというのはまず考えられません。
スポーツにおいてパフォーマンスを高めるには、コーヒーなどの飲料から摂取するよりも、サプリメントを飲むのが効率的。ただ、カフェインによって高まるのはせいぜい1%~3%程度。
それでもギリギリを競う競技の世界であれば大きな助けとなるのは確か。
しかし、単に趣味としてスポーツを楽しむ人が1%~3%程度能力が上がったところでたいして変わりありませんから、こういうのは国だとか県だとかの代表を競うレベルのアスリート以外はあまり頼るべきではないでしょう。