コーヒーを飲むとがんの予防につながる?
コーヒーには脂肪燃焼効果や抗うつ作用など、さまざまな健康効果がうたわれていますが、また新たな効果が期待できることがわかりました。その効果とはなんと皮膚がんの発症リスクを軽減する作用。
日本人に最も多い皮膚がんは、基底細胞がんと言われる表皮の一番下の基底層に発生するものです。
順天堂大学の小林弘幸教授は次のように話しています。
「日本人に多い基底細胞がんについて、カフェインを含むコーヒーを摂取することで発症のリスクを回避する可能性が示されました。アメリカのラトガース大学研究チームはマウスの遺伝子を操作してARTという酵素の働きを抑制させた状態で紫外線に当てる実験を実施しました。その結果、この遺伝子を操作されたマウスは通常のマウスと比較して皮膚がんの発症は3週間遅れ、腫瘍も69%少なかったと発表しました。そしてカフェインにはこのARTという酵素を抑制する働きがあります。」
ARTを抑制することで皮膚がんの発症が回避できるのははぜでしょうか。
「その理由はARTが抑制されることで、紫外線によってダメージを受けた細胞を死滅させる作用が原因です。ダメージを受けた細胞はやがて腫瘍となってしまうため、そのような細胞を腫瘍になる前に死滅させることで皮膚がんの抑制につながるのです。」
カフェイン入りのコーヒーは飲用して服用するだけでなく、直接肌に塗ることでも効果が期待できるそうです。将来、カフェインを使用した日焼け止めの薬なども登場するかもしれません。
また、効果は基底細胞がん以外にも期待できる可能性もあります。
「マサチューセッツ大学が実施した研究では、長期的にコーヒーの摂取を続けた女性はメラノーマ性のがん発症リスクが低いという結果も明らかになっています。このメラノーマ性のがんは皮膚がんのなかでもっとも悪質であると言われているがんになります。この研究は閉経した女性6万人に対して実施されたものです。
さらにコーヒーの中にはヘテロサイクリルやクロロゲン酸という発ガン物質に対抗し、ガンを遠ざけることができる物質が多く含まれており、これにより肝臓がんや女性の子宮がん、大腸がんの予防にも効果があるという研究成果も報告されています。」
あまり飲み過ぎると胃に負担となってしまいますが、1日1杯程度のコーヒーブレイクはがんを遠ざけるという新たな可能性があるかもしれません。