コーヒーを1日3~4杯飲むと死亡率が低下する!?
日本人9万人以上に対して調査したところ、コーヒーを1日に3~4杯飲む人はほとんど飲まない人に比べて死亡率が24%も下がることが分かりました。
この研究結果は国立がん研究センターがん予防・検診研究センターの齋藤英子氏(東京大学大学院医学系研究科国際保健政策学)らが2015年3月11日発行のアメリカ医学誌「American Journal of Clinical Nutrition」(電子版)に報告しました。
それによると、コーヒーは心臓病や脳卒中だけでなく、肺炎などの呼吸器系の病気による死亡リスクの低下にも関与していたとのことです。
1日5杯以上飲むと効果は弱まる
斎藤氏ら研究グループは、国立がん研究センターや全国11保健所などが共同で実施し、約10万人の日本人が対象になる「JPHC研究」に登録されている40歳から69歳までの9万914人(男性4万2,836人、女性4万8,078人)を対象に、1990~94年から約19年にわたって追跡調査を実施しました。
その結果、コーヒーを飲んでいる人は「ほとんど飲まない」と答えた人に比べて死亡リスクが下回っており、特に1日3~4杯飲むと回答した人が最も低く24%も下回る結果となりました。
ただ、1日5杯以上飲むと答えた人の死亡リスクは1日1~2杯と答えた人と同じ程度であり、効果が弱まることもわかりました(1日1杯未満は9%減、1日1~2杯は15%減、1日5杯以上は15%減)。
また、病気別にみても1日3~4杯飲む人では、心臓病による死亡リスクは36%、脳卒中の死亡リスクは43%、肺などの呼吸器疾患の死亡リスクは40%とそれぞれ低い結果となっています。しかし、がんでの死亡リスクについてはコーヒーを飲む量による違いは見られませんでした。
カフェインやクロロゲン酸などの好影響が原因か
斎藤氏らによると、今回コーヒーと心臓病や脳卒中による死亡リスク低下に関連が認められたことについて、「これまでの研究結果と一致している」と説明しています。
コーヒーには血圧を低下させたり糖の吸収を緩やかにする効果のあるクロロゲン酸や、血管内部の状態を改善する作用のあるカフェイン、さらに血栓をできにくくするピリジニウムが含まれることがわかっており、今回の結果もこれらが関与している可能性があると説明しています。
また、呼吸器疾患による死亡リスク低下との関連については、「気管支拡張薬に似た作用が認められ、カフェインによって肺の機能を改善する好影響をもたらしたのではないか」という考察を述べています。
しかし糖尿病による死亡リスクについてはコーヒーとの関連は認められなかったと指摘しています。これまでの海外での研究成果でも、一定した結果とはなっていない点を指摘し、さらに研究を重ねて検討する必要があるとしています。