深煎りファンとして深煎りコーヒーを擁護せざるを得ない昨今の状況

何年前かは忘れましたが、マクドナルドが「プレミアムローストコーヒー」を始めた時、ネットでこれまでのコーヒーと比べて格段においしくなったという評判をいくつか見たので、試しに飲んでみたことがあります。

おいしくなったと言う人は、それまでどんなひどいコーヒーを飲んでいたのでしょうか?

初めて飲む「プレミアムローストコーヒー」は、焦げ臭いだけで苦いくせに味が薄い、とてもおいしいなどといえるものではありませんでした。

コーヒーはよく、酸味・苦味・香りの飲み物だと言われます。でも、私は、苦味が苦手なせいもあるためか、コーヒーの苦味はおいしさを感じる成分ではないと思っています。

私は酸味も苦手なので、どちらかというと深煎り豆のほうが好き。だからエスプレッソやベトナムコーヒーなどを好みます。

深煎り豆のコーヒーは、酸味がなく、コクがあっておいしいと思います。一般的には深煎り=苦味が強いと言われているけれど、そんなに苦いでしょうか?

台湾ではお茶に含まれる甘みのことを「回甘」と表現しますが、おいしい深煎り豆のコーヒーをブラックで飲むと、お茶の「回甘」に共通するような甘みも感じます。

あくまで個人的な意見としては、コーヒーのおいしさはコクと甘みだと思っています。

深煎り豆の苦味は、むしろコクのある味の陰に隠れて突出していないような気がするのですがどうでしょうか?

焙煎=焦がしではない

一つ誤解されているのが、焙煎=「焦がす」ことだと思われていること。でも、コーヒーの焙煎はコーヒー豆を「焦がす」作業ではないのです。

真っ黒に煎ったフレンチローストの豆も、上手に煎ってあれば焦げ臭さは感じません。

それに比べると焦げ臭いプレミアムローストコーヒーは、どちらかというとプレミアム焦がしコーヒーなのではないかと思います。

焦げた苦味はすぐ舌に来るけれど、おいしいものではありませんね。

焦げるということは炭化しているということですから、おそらくうまみやコクをつくりだす成分まで焦げてしまっていて、だから味がない苦いコーヒーになってしまうのでしょう。

コーヒーの「苦味」を生み出すもの

コーヒーの苦味にはいろいろな要素があります。

例えば品種。

インドネシアのマンデリンは特に苦味が強めの豆として知られています。他にロブスタ種もアラビカ種より苦味が強いといわれています。

次にクロロゲン酸由来の物質。

コーヒーの生豆にはクロロゲン酸というポリフェノールが含まれていますが、焙煎すると分解され、クロロゲン酸ラクトンや4-ビニルカテコールとう物質を生み出します。これらが苦味のもと。

カフェインもまた苦味成分の一つですし、カラメルも豆に含まれる糖分からつくられます。

実はコーヒーの苦味成分は、まだ完全には解明されつくしてはいません。他に、いくつもの成分が絡まり合い、コーヒーの苦味を作り出していると考えられています。

深煎りのほうが苦味成分は減るが強くなる

コーヒーの苦味を作り出している成分のうち、4-ビニルカテコールについてはまだわからないことが多いそうです。

クロロゲン酸ラクトンは焙煎が深くなるとさらに分解され、コーヒー酸やキナ酸などになります。このうち、コーヒー酸が加熱されると、これもまた苦味成分になるようです。

カフェインは揮発性なので、深煎り豆からは減っています。ただ、深煎りだと豆の水分量自体も減っていくので、同じ重さのカフェイン含有量の総量自体はあまり変わらないと考えられます。

おおざっぱに言って、焙煎が深くなるほど苦味成分を作り出す成分の種類は減っていき、そのかわり、個々に苦味が強い物質が残るので、深煎り豆は苦いという結論になります。

淹れ方で苦味は変わる

淹れるときの条件によっても苦味は変化します。一杯のコーヒーに使う豆の量が多ければ苦味は強くなりやすいし、挽き方が細かいと苦味成分が抽出されやすくなります。

また、湯温が高かったり、同じ量のお湯でも抽出時間を長くすると苦くなります。

細挽き、高温、深煎りという条件がそろったエスプレッソは苦くなる条件が揃っているわけです。

深煎りは苦すぎる?

日本のコーヒー文化は浅煎り〜中煎り至上主義みたいなところがあるので、これをもって深煎り豆は苦味ばかりで本当のコーヒーの味を味わえないという意見の人が多いように感じます。

また、日本のコーヒーファンには酸味を好む人も多いので、この点でも深煎りは不利です。

もっとも、この傾向は日本だけではなくアメリカでも同じようです。いわゆる「サードウェーブコーヒー」の特徴はいろいろありますが、浅煎りを使うショップが多いというのもその一つ。

スターバックスのようなシアトル系のセカンドウェーブカフェは、イタリアンスタイルのエスプレッソがベースになっていて、アメリカになかった濃厚な味が受け入れられたという反面、そういうコーヒーが受け入れられないというアメリカ人も多かったのです。

それは一つの好みとして私は否定するつもりはありません。しかし、浅煎りでなければコーヒーの本当の味は出せないという考え方にはちょっと賛同できないです。

深煎りファンから言わせてもらえば、深煎りでしか出てこない味もあるし、牛乳や練乳と合わせるカフェオレ、カフェラテ、ベトナムコーヒーなどは、深煎り豆で出した強い味のコーヒーでこそおいしく味わえるからです。

要は好みによって住み分けをすればいいだけの話なので、特にサードウェーブにかぶれた意識高い系の人には、ドヤ顔で深煎りを否定するのはやめていただきたいものですね。

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