「見た目からして苦い」は正しい?

コーヒー豆と聞くと、何色を連想しますか?

ビターチョコレートに近い色でしょうか? あるいはミルクチョコレート色かもしれません。いずれにしてもインスタントコーヒーやドリップコーヒーの粉の、硬く香ばしく色合いを思い浮かべる方がほとんどだと思います。

では、木になっているときのコーヒーは何色でしょうか?

実は真っ赤なんです。木の実としてはポピュラーな色ですね。リンゴでもサクランボでも、晩秋を彩るナンテンやカラスウリでも、熟すと艶のあるきれいな赤色になります。

コーヒー豆も熟すと赤くなります。その見た目からコーヒーチェリーと呼ばれます。もちろん木の実ですから、収穫のついでにそのまま食べることもできます。ただし果肉は薄いので、サクランボほど甘く水分を含んではいません。

コーヒーチェリーを乾燥させて皮をむき、取り出した種子がおなじみのコーヒー豆です。生豆(きまめ/なままめ)と呼ばれるこの状態では淡い緑色をしています。これをローストすると、その焙煎度合によってミルクチョコレート色からビターチョコレート色へと色を変えていきます。

浅煎り、深煎りという言葉をよく耳にされると思います。その表現のとおり焙煎の度合いを指します。最近はコクのある深煎りの方が人気のようです。なぜ焙煎度合が注目されるかというと、同じ豆でも焙煎の度合いによって風味が違ってくるから。

色のもとは、アミノ酸、少糖類、クロロゲン酸類などで構成される褐色色素。褐色色素というのは一つの成分を指すのではなく総称で、焙煎によって成分が変化して作られるカラメル色素やメラノイジンといったものが含まれます。

褐色色素は浅煎りの段階では小さな色素が多いのですが、焙煎の度合いが進むにつれて色素の量が増え、また大きな色素の割合が増えていきます。

この色素がコーヒーの苦みの一因になります。浅煎りより深煎りの方が苦みが強く質感の重い味になるのは、こういった事情によるものです。

黒く焦げたように深く焙煎されたコーヒー豆を見て「苦そう」と感じるのは、単にイメージではなく理屈に合っているというわけなのです。

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