コーヒーは昔ながらの品種の方がおいしい?
このところ、コーヒーも品種で語られる機会が増えてきたように感じます。特にティピカやブルボンなど、古くからコーヒーの原種に近い品種として名を知られている伝統的な品種への評価の高さが目立ちます。
コーヒーに対して多くの人が関心を寄せ、強いこだわりが持たれるようになったこと、それによってコーヒーについてより多くの情報が提供されるようになったことはたいへん素晴らしいことだと思います。
しかしそれが極端な品種信仰につながりがちなのは、コーヒーに関わる人達としては気がかりなところ。
世界中のいろいろな産地に足を運んでコーヒーの品質確認しているプロは、世界のコーヒーの良し悪しを知っているばかりか、日本にいて世界中の産地から発送されたコーヒーを受け取り、そのコーヒーの品質評価をすることもあります。
そのいずれの経験からも、品種とはコーヒーの品質の一要素にすぎないということ。
例えば土壌、標高などの地理的条件、降水量、気温などの気象条件は品質に大きな影響を与えます。収穫後の精選工程での技術レベルの良し悪しも重要。
これらの影響を無視し、まるで品種が味のすべてを支配しているかのように語るのは誤りだと言わざるを得ません。
では仮にすべての条件が同じならどうでしょう?
コーヒーが生産された土壌や標高、降水量、気温、ほかの気象条件、精選の技術なども・・・すべてが同じコーヒー同士を比べたときは、やはり昔ながらの伝統的な品種がおいしいのでしょうか?
その答えは、一律にティピカやブルボンであるとは限りません。
それぞれのコーヒーの品種には適性があります。おいしいコーヒーをつくるためには、その土地に合った品種を選ぶことが重要になります。
「伝統的な品種はおいしい、改良品種はだめ」とか、一概に言えるものではありません。おいしくないティピカも、おいしいハイブリッドも世界にはいくらでもあります。
せっかくのコーヒーが、品種の名前や、改良品種かどうかだけで判断されるのは非常にもったいないことだと思いませんか。