同じ豆でも店によって煎り方が違う理由
焙煎度合いは、焙煎する人がコーヒー豆の適性をどのように判断するかによって決まります。コーヒーの味は、産地や豆本来の味だけでなく、焙煎度合いによって決まります。
産地銘柄の違いは、全く同じ条件で焙煎して初めてわかる事なのです。モカの味を現わすには、焙煎度合いも提示しなければ、適切な味の表現とは言えません。
このため、焙煎する人がA店では浅煎りが適切と判断し、B店では中深煎りが適切と判断されれば、当然ながら店によって煎り方が異なることになります。
焙煎者の判断が異なるのはそれぞれの店の味の特徴となるため、豆に適した焙煎度合いであれば問題はありません。大事なのは、同じ品質が保てるかということです。
やさしくすっきりとした味が人気のA店ではモカを浅煎りで粗挽きにし、通常より多い粉を使い、ネルだてしています。
こくのあるコーヒーが人気のB店では、モカを深煎りで中挽きにし、ネルだてしています。
お店で提供される商品は、焙煎されただけの豆ではなく、焙煎から抽出までの過程を経たコーヒーという飲み物が商品となります。この場合、焙煎は一過程にすぎません。お店の方針として、お客様にどのようなコーヒーを提供したいかによって焙煎度合いが変わってくることもあります。