焙煎後に袋が膨れるのはコーヒーガスのせい?
コーヒー豆を焙煎して、そのまま袋詰めするとパッケージがパンパンに膨れてしまいます。これはコーヒー豆からコーヒーガス(二酸化炭素)が出ているためです。
焙煎中に二酸化炭素が発生すると、それは最初はコーヒー豆に吸着されます。そして冷えると次第に二酸化炭素は放出され、袋の中にたまっていきます。以前は腐敗したと誤解された時もあったそうです。
発生する二酸化炭素の量は、焙煎度と共に増加します。時には焙煎豆100gあたり、500ccとなることもあります。袋が破れるおそれがありますから、安全と品質保持のために二酸化炭素を取り除く必要があります。
二酸化炭素を取り除くためには、エージングやバルブ付き包装、脱酸素剤封入包装で対策を行います。
エージングとは焙煎したてのコーヒーを保管して、ガス抜きを行う工程です。エージングに必要な時間は1~3日間ほどで、焙煎度や豆の形状(豆か粉状か)、そして保管温度によって異なります。
エージングとはつまりワインやチーズと同じように、コーヒーにも熟成が必要ということなのです。エージングが済んでいないコーヒー豆は刺が強く、そのままではコーヒーの香りや風味、良さを引き出せません。
コーヒーはエージングによって空気にさらされて熟成します。酸素はコーヒーを劣化させますが、焙煎直後のコーヒーは二酸化炭素にバリアされているので酸化を心配することはありません。ただし二酸化炭素が抜けるにしたがって、香りも失われていきます。
バルブ付き包装はワンウェイバルブから二酸化炭素が排出されるため、焙煎直後のコーヒーを詰めても袋が過度に膨れることはありません。しかし市販のバルブの中には「ワンウェイ(片道)」で無いものや、耐久性が優れていないものもあります。使用前に一度確かめてから詰めると良いでしょう。
脱酸素剤封入包装を行う場合は、酸素と二酸化炭素の両方を吸収するタイプを選ぶと、これだけで酸素も二酸化炭素も対応できます。ただし脱酸素剤は香りもわずかに吸着するので、コーヒーの香りが弱まることががあります。またガスが吸収されることで、お湯を注いだ時に香りの立ちが悪くなることもあります。
また粉の膨らみが悪くなる場合もあります。そのため古いコーヒーだと誤解してしまうこともあるかもしれません。