ドリッパーによって出来上がるコーヒーの味は変わる
ペーパードリップのドリッパーにはいくつかのタイプがあります。穴が一個のものや穴が三個のもの、穴のサイズが大きいものなどがあり、同じようにお湯を注いでも濾過速度が変わります。濾過速度が変わると味が変わってきます。
濾過が早ければ注いだお湯はすぐに落ちていきますから、抽出時間は短くなります。逆に濾過が遅ければ注いだお湯はドリッパーの中に長く滞留するので、抽出時間が長くなるでしょう。この抽出時間の差が、味の違いとなって現れるのです。
濾過速度はドリッパーの穴の面積で変わり、面積が小さいものほど濾過は遅くなります。このタイプのドリッパーでは、注いだお湯はドリッパーの中で湯溜まりになって、そこから一定の速さで濾過されていき、抽出が湯溜まりの中で起こる為にお湯の注ぎ方の違いが出来にくく、比較的安定したコーヒーが入れられるでしょう。最初は面積の小さいものを選ぶのも良いかもしれません。
一方、穴の面積が大きくなってくると注ぎ方の影響が大きくなってきます。このタイプのドリッパーで湯溜まりが出来ない注ぎ方をした場合には、湯は注いだ場所を中心に抽出しながら濾過されていきます。
沢山注いだ場所は抽出されやすく、少ししか注がなかった場所はあまり抽出されないでしょう。つまり、成分の抽出ムラが出来るのです。
昔から「ドリッパーの縁の近くにあまりお湯を注いではいけない」と言われるのも納得。粉の層の厚い中心部と粉の層が薄い周辺部とに同じようにお湯を注ぐと、周辺部は抽出されすぎる事になってしまうのです。
ドリッパーを選ぶ時は材質にも注意が必要です。陶器製のドリッパーの場合、一個一個形が微妙に違います。ドリッパー内部に刻んである溝が浅くつぶれている物はお湯が落ちにくい事がありますから、購入の際には確認した方がいいかもしれません。
また、ドリッパーとセットで使うペーパーにも注意が必要です。ペーパーには匂いの強いものがあり、その匂いでコーヒーの香りを邪魔する事があるのです。ペーパーも選ぶ前にテストする事をお勧めしたいです。ペーパーをコップなどに入れて直接お湯をかけ、匂いを嗅いでみればすぐにわかるでしょう。
このようにドリッパー選びは味を選ぶ事に繋がるかもしれません。しっかりと確認して自分に合った物を選ぶ事が出来れば、お好みのコーヒーを淹れる事が出来るでしょう。