コーヒーは淹れ方次第で味が変わる?
コーヒーを淹れる作業は、焙煎豆に含まれる様々な成分の抽出量をコントロールして味の総量とバランスを作っていく作業と言えるでしょう。
酸味成分と苦み成分の総量は原料で決まってしまうので、やはり原料が大切なのは事実。そうすると、どのような生豆が使われて焙煎時に豆の温度がどのように上がっていったか、どのような焙煎度に仕上げられたか、そうして焙煎された豆がどのようにブレンドされたか等は色々気になるでしょう。コーヒーの味の大半を決めると言っても過言ではないと言い切れるかもしれません。
しかし、同じ原料を使えばいつでもコーヒーの味が同じになるとは限らないのです。コーヒーは淹れ方でも味は変わります。それは酸味成分と苦み成分の総量が原料で決まっていても、それぞれをどの程度抽出するかを変える事が出来るからです。コーヒーの味を変える抽出の要素は、お湯の温度、抽出の時間、粉の大きさの三つだと言えるでしょう。
お湯の温度といった場合、注ぐお湯の温度を気にしがちですが、実際はそれが粉に接しているときの温度が大切です。言い換えればお湯を注がれた時の粉の温度でしょうか。
お湯の温度を高くするとそれぞれの成分が溶け出すのは早くなります。酸味成分はもともと溶けやすいので、早くなっても表面にたどり着く量はあまり変わらないと言えます。しかし、苦み成分はゆっくりと溶けだすので、お湯の温度が高くなる事によって表面にたどり着ける量はぐんと増えるでしょう。つまりお湯の温度が高くなるという事は、味の総量が増えて苦みの成分比率が大きくなるのです。
二つ目の抽出時間で味が変わるのはどうでしょう。抽出時間が長くなる事では、もともと酸味はすぐに溶け出してしまう為、大差は出ないでしょう。しかし苦み成分はゆっくりなので時間が長くなるにつれて苦み成分の比率が大きくなります。
三つ目の大きさで味が変わるというのは、溶け出すまでの時間が長くなったり短くなったりすると言えます。ここでも酸味成分はもともと溶け出すのが早いので変わりはないでしょう。溶け出すのが遅い苦み成分にとってはこれは大問題だと言えます。粉の大きさが細かくなるにつれて苦みの比率が大きくなります。
それでは味の総量はどのくらいがいいのでしょう?酸味と苦みの比率はどのくらいがいいのでしょうか?これは好みの問題です。自分の為のコーヒーであれば、自分のベストポイントを見つける事が課題になります。もし、誰かの為のコーヒーであれば、飲み手の好みに合うように原料を選び、お湯の温度、抽出にかける時間、粉の大きさを変えることでベストポイントに合わせる技術が必要となるでしょう。