エスプレッソの抽出原理と美味しい淹れ方
エスプレッソは誕生してからわずか一世紀ほどしか経っていない、他と比べると比較的新しい抽出方法ですが、ここ数年で日本にも急速に普及しました。日本にエスプレッソブームを巻き起こしたのは、シアトル系と言われる深煎りのコーヒー豆を使用したタイプです。
しかし、エスプレッソ発祥の地イタリアのシアトル系と比べて煎りの浅いタイプもずいぶんと身近になってきたのではないでしょうか。
エスプレッソの抽出の原理はドリップなどの抽出原理とは違います。
よく「9気圧・90℃・30秒」と言われているエスプレッソですが、高温(90℃程度)のお湯に高圧(9気圧程度)をかけて、短時間(30秒程度)で少量(30cc程度)の濃厚なコーヒーを淹れる抽出方法で作られています。
高温・高圧のお湯が粉の内部に浸透し、コーヒーの成分を溶かし出していきます。ですから、粉の表面に出てきた成分だけを溶かす他の抽出方法と比べて短時間で淹れる事が出来るのです。
表面を覆う細かい泡もエスプレッソの特徴です。タンパク質や多糖類から出来ているこの泡をクレマといいます。クレマというのはエスプレッソの良い香りをカップの中に閉じ込める役割を果たしているのです。
エスプレッソの風味の良し悪しを決めるのはなんでしょうか。それは、粉の量、粉の大きさ、粉の詰め方です。圧力が粉に対して適正にかかれば、30秒間ほどで30cc程度のエスプレッソが得られます。しかし粉が荒かったり、詰め方が甘かったりしてかけた圧力が簡単に抜けてしまうと、短時間で抽出が終わり、風味が薄っぺらになるでしょう。
このような場合、クレマはすぐに消えてしまうのです。逆に粉が多すぎたり、細かすぎたり、きつく詰めすぎたりすると、なかなかエスプレッソが落ちてこないのです。この場合は、泡の大きなクレマを伴ったえぐみの強いエスプレッソになってしまいます。
抽出を安定させる為にはどうしたらいいのでしょうか。粉の量や詰め方を一定にしたり、粉の大きさを適宜調整したりしなければならないのです。今の時代にはその手間も暇もかからないポッド(容器に一杯分の粉をきっちりと詰めたもの)も普及しつつあります。
ポッドを使うと、挽きたての風味を表現する事はまず出来ませんが、誰でも簡単にエスプレッソを淹れる事が出来るでしょう。