コーヒー豆をできるだけ劣化させずに保存するには?
コーヒー豆に酸素が大敵なのはよく知られていること。
酸素によって酸化したコーヒー豆は、コーヒー本来のものではない嫌な酸味を出すようになり、コーヒー自体の味を損なってしまいます。
そこで、いかに酸素に触れないようにするかがコーヒー豆保存のポイントとなります。
しかし、酸素以外にも避けなければいけないものがあります。
例えば湿気。
焙煎したコーヒー豆には、肉眼では見えない微細な孔がたくさんあいており、また非常に乾燥しているために湿気を吸いやすくなっています。
湿気を吸った豆は成分が変質し、味に影響を与えます。
ただ、酸素に触れないような保存をしていれば湿気に触れることもなくなるので、そこはそれほど気にしなくていいところ。
もう一つコーヒー豆を劣化させる要素としては紫外線があります。
例えば、日に当たるような場所に本棚を置いておくと、本の背中の色が薄くなるということがありますが、これは紫外線によってインクの色素が分解されたため。
コーヒー豆が紫外線にあたると、主にタンパク質が変性。コーヒーの苦味成分の一部はタンパク質由来の物質でできているので、それが変性してしまうと味のバランスが崩れます。
買ってきたコーヒー豆をわざわざ日の光に当てる人はいないでしょう。しかし、透明なガラスやプラスチック容器などに入れて室内に放置している人はいるのではないでしょうか?
紫外線は蛍光灯も出しています。その量は太陽光とは比べ物にならないとはいえ、照射が長く続けばやはりその影響は避けられません。
それに、太陽光が当たる部屋には、外とガラスで遮られていても意外と紫外線が入り込んでいるものです。
和室の家具を動かしたら、家具の下だけ畳の色が濃かったというのは誰でも経験があると思います。
これも紫外線の影響ですから、例え紫外線を出さないLEDライトを使っていたとしても、透明容器に入れている限り太陽光が入る部屋であれば紫外線が当たっているものと思ったほうがいいでしょう。
今まで述べてきたのは、豆のままであることを前提としています。もしこれが、挽いた状態の粉であれば、酸素、湿気、紫外線から受ける影響はさらに顕著となり、劣化のスピードも早まります。
コーヒーをおいしく飲みたいのであれば、コーヒーミルは必携品。そんなに高価なものではないので1台ぐらい買っておく方がいいでしょう。
ゆえに、コーヒー豆を保存するときは、基本的に豆のまま。そして、酸素、湿気、紫外線を避けられるような容器、場所に入れておくことが大切。
豆を挽くときは面倒がらずに飲むたびに必要な分だけ粉にし、その場で使ってしまうのが一番。
ある程度まとめて挽いておくという人もいるかもしれませんが、それは極力避けるのが吉。
理想的な保存法といえば、やはり密閉袋に入れて冷凍庫にしまっておくこと。冷凍庫の中なら紫外線も避けられるので、ジップロックのような透明袋でも問題ありません。
より有効なのはお店で入れてくれる袋に入れたまま、クリップなどでしっかりとめ、そしてジップロックに入れたうえで冷凍保存すること。
最近は家庭でも簡単に真空パックができる機械が売られているので、小分けに真空パックにしてから冷凍するというのも有効でしょう。
真空パックについては、コーヒー豆は焙煎時に発生した炭酸ガスを細胞の間の隙間にためており、それを放出しているからあまり意味がないという意見もあります。しかし、それはあくまでショップが販売する時点でのこと。
たしかに真空パックにしてもガスを排出すれば袋は膨らんできます。しかし、爆発するほど膨張することはありえない上、一袋ごとの量を少な目にすれば排出されるガスも少なくなります。
そして、真空パックの中に炭酸ガスが充満したとしても、それはそれで酸素に触れるのを防ぐことにもなります。同じく酸化に弱いワインなどは、炭酸ガスを酸化防止に利用することもあるくらい。
真空パックはコーヒー豆の保存に適さないという意見は、ショップでの販売時のことと家庭での保存を取り違えたものだと思われます。
これらの保存法がコーヒー豆の劣化を防ぐのにいいとはいっても、あまりに大量だと面倒ですよね。
ですから、さらにおすすめなのは、近所にお気に入りのお店を見つけ、2週間程度を目安に飲みきれる量を買ってきたうえで冷凍保存しておくということ。
短期間で飲みきれる量なら、わざわざ真空パックの機械を購入しなくてもジップロックで十分。使う袋も1枚か2枚程度で済みますから場所もとりません。