コーヒー産業も地球温暖化への対応を迫られる時代

地球温暖化の原因はCO2のせいだ、いいやCO2などではなく、地球の大局的な気候変動のせいだなどといろいろ言われています。

しかし、こういう議論の中で頭悪いなと思うのは、地球温暖化自体は否定していないのに、その原因がCO2ではないと言うと突如発狂してなぜか地球温暖化自体を否定しているかのように批判してくるやつが多いということです。

人為的に防げるかどうかはよくわかりませんが、地球温暖化自体は実際に起っています。

10年前ほどから日本の夏が猛暑化しているのも、世界的に大規模な洪水などの災害が起きているのも地球温暖化が原因であることが多いです。

「多いです」という意味が理解できずに、全部が温暖化のせいじゃないだろとか言い出す頭の悪い人のためにわかりやすく付け足すと、無関係のものは除き、台風だのハリケーンだの洪水だのの「多く」は地球温暖化が原因で多発化、猛烈化していると見られます。

そうした中、イギリスの研究機関によれば、地球温暖化の影響によって2050年までには、中米などのコーヒー生産地の気候がコーヒー栽培に適さないようになり、2080年までにアフリカのコーヒーの木の野生種が絶滅する可能性があるそうです。

まあ、コーヒー飲めなくなってもお茶とかいろいろ飲むものはあるし、そもそも2050年まで生きていることもないだろうからどうでもいいことなんですが、商売でやっている人はそうもいかない模様。

日本で特に人気がある「ブルーマウンテン」の産地・ブルーマウンテン山脈がある中米の国ジャマイカは、2007年のハリケーン・ディーン、2008年のハリケーン・グスタフ、2012年のハリケーン・サンディなどに相次いで襲われ、ブルーマウンテンコーヒーの生産地も打撃を受けています。

特にハリケーン・サンディ襲来の翌年、2013年には、コーヒーの木に病気や害虫が蔓延し、ブルーマウンテンの生産量は激減。日本のコーヒー市場からブルーマウンテンが消えました。

ブルーマウンテンに自社農園や契約農場を持っている、キーコーヒー、UCC上島珈琲などの大手業者も、在庫が無くなり次第ブルーマウンテンの販売を休止せねばならない状況に追い込まれています。

コーヒー産業は、2050年と言わず、今すぐにでもこうした大規模気候変動へ対応しなければ命取りとなる状況です。

現在、高級品種として売られているコーヒー豆はアラビカ種。しかし、病害虫に強く、高温にも耐性があって大量生産できるロブスタ種に比べ、アラビカ種は病害虫に弱く、気候条件に対する要求も厳しいものがあります。

米についても、原種に近く熱帯で大量に生産されている長粒米よりも、日本の寒冷地域でも栽培できるように改良されたジャポニカ米のほうが味の点では上とはいえ、気候変動には弱く、寒冷地域へ適応させたゆえに近年の猛暑で不作になりやすいというのと似ています。

生産性を維持するためには、さらなる品種改良が求められるようになってきているのです。

キーコーヒーは、主力商品の一つであるインドネシア・スラウェシ島が産地の「トアルコトラジャ」が、気候変動や地球温暖化の影響を受けないよう、スラウェシ島にある自社農場と協力農場において、これから想定される変動や病害虫に耐えられる品種の研究を始めることにしました。

キーコーヒーは、アメリカのコーヒー研究機関・ワールドコーヒーリサーチの協力を得て、35種、4,000本もの苗木を準備。より強く、それとともに味もよい品種を選定していく予定です。

ただ、農作物の研究には時間がかかります。この研究も成果が出るのは20年先だと見られていますが、時間がかかる研究ほど、早く始めなければなりません。

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