コーヒーが高級嗜好品になる時代がくる!?

コーヒー豆の業界関係者の中では、コーヒー豆の値段は長期的な値上がりは避けられないだろうという見方が強まっています。その理由は新興国の経済発展などにより年2%の割合で消費量が増加するのに対し、世界中で作付けに適した土地が不足しているためです。さらに主産国であるブラジルを始め、生産国における人件費の上昇などコスト増も背景にあげられます。喫茶店や食卓で気軽に楽しめていたコーヒーが、そのうち高価な嗜好品になってしまうかもしれません。

丸紅でコーヒー豆の調達を担当する梶原和幸氏(飲料原料部長)は、「5年や10年後の状況が心配だ、コーヒーを気軽に飲みたくても飲めない時代が来るかもしれない」と不安を表しています。その理由のひとつは需給の逼迫です。

アメリカの農務省が発表した最新の情報によると、2014年度における世界全体の生産量は1億4,980万袋(1袋は60キログラム)に対し消費量は1億4,762万袋。まだ生産が消費を218万袋上回っていますが、実は2013年度では生産が1,010万袋上回っていたのです。2014年度はブラジルで干ばつが起き、世界の生産と消費がより拮抗した状態となりました。

このブラジルでの干ばつの影響は2014年度だけにとどまるかと言うと、そうではありません。コーヒーの木が受けたダメージは、今後の生産にも影響を与える可能性があります。また、地球温暖化などの影響により今後も小雨となる年が増え、安定した収穫が期待できなくなるという指摘もあります。

その一方で需要側を見てみると、梶原氏は「中国や東南アジア諸国連合(ASEAN)では年2桁の伸びとなりそう」としています。さらに先進国においてもカプセル型など多様な商品が開発されて新たな需要も広がっています。消費量が全世界で2%増えるということは、1年間で300万袋ずつ必要な量が増えていく計算になります。

このような需要の伸びに対応して供給量が増えれば問題ありませんが、そう簡単な話でもないようです。

レギュラーコーヒーに使用するアラビカ種は、中南米やアフリカなどの熱帯から亜熱帯にかけての標高1,000メートル前後の高地でしか栽培できません。ブラジルはまだ土地に余裕がありますが、生産量2位のベトナムや4位のインドネシアなどでは土地が不足し始めています。また、将来の生産国としてアフリカ諸国は有望ですが、植樹してすぐに収穫はできず時間がかかります。

値上がりの要因としてもう一つ挙げられるのが、生産国での人件費の上昇です。コーヒー豆の生産国は新興国であるブラジルや東南アジアに集中しています。これらの諸国における最低賃金の引き上げなどにより人件費が上がり、いまでは生産コストの3割から4割を占めています。機械化が進んでいる大農園はまだいいのですが、小規模な農園では作業を行う季節労働者の確保が困難となっているケースも出ています。

反対に短期的な見方のみであれば弱材料もあります。原油安が契機となり、全般的に国際商品は軟調であり、中国を中心に世界経済が減速する懸念が生まれています。そうなるとコーヒーの消費量は一時的には伸び悩む可能性もあるでしょう。

しかし長期的な視点で考えると、「10年後にコーヒー豆があり余るような状況にはならない」(双日食料事業部砂糖・コーヒー課の前田耕作氏)という指摘は間違いないでしょう。ニューヨーク市場の足元のコーヒー豆価格は1ポンドで160セント前後となっていますが、2000年代後半までは大干ばつ等で高騰した時期を除けばだいたい100セント前後で推移していました。そして今後は下値が150セント、国内商社の見通しでは200セントを超える状態も珍しくなくなるのではないかとの見方が広まっています。

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